妖と対峙した泰麒はついに妖を使令に下す。しかし,泰麒は昇山してきた男,驍宗を慕うあまり,王,泰王に選んでしまう。天啓も知らぬままに・・・。十二国記は,年代順に出版されていない。あと何年かしたら,年代順に再読したいものだ。傑作を読んだ後の虚脱感が快いことだ。
泰麒が生まれるべき果実が触により蓬莱へ流されてしまって10年。蓬山の女仙達がようやく探し当てた泰麒は,少年の姿で麒麟に姿を変えることも出来ない。使令も捕らえられず思い悩む泰麒だったが,昇山の時が来る。王を選ぶべき・・・。十二国記ものとしては,めずらしい作品。冒険らしい冒険もなく,穏やかに歳月は過ぎる。
解けたかに思われた謎だったが,霊の活動はなぜか激しくなる。そして,20年前の一家惨殺事件の再現へ向けて,隣り合う二軒の家は・・・。やさしくとも,かなしい。やりきれない結末へ。この物語で唯一悪いのは,建築基準法を無視した業者。あとは,一生の買い物であるマイホームに踊らされた人々がいただけだった。最後の少女の帰宅のシーンがやけに浸みる。
邪悪な魔法使いアカル・ケッセルが配下のモンスターを操って,テン・タウンズを襲う。テン・タウンズ・ドワーフ連合軍はそれに立ち向かうが・・・。普通は,テン・タウンズが壊滅し,復讐を誓う主人公の大冒険なんてストーリーにしがちなのだが,さすがですな。見事に期待を裏切る筋立てだった。第3巻は指輪物語風になりそうだ。楽しみ〜。
ラルフの前に現れる死んだはずの親友ローリィ。ラルフを,そして香港を狙う謎の組織の正体が明らかになる。香港の中国返還を目前に物語りは怒濤の勢いで動き出した・・・。スゲー。反鬼組の面々の生きざま。やっぱ,サンダー・ロイが一番スゲー。(ちょっと興奮気味です)
謎の人体発火事件の捜査で,麻薬ホンコン97を追う香港皇家警察反鬼組のラルフだったが,彼の龍の一族の血を目覚めさせようと企む勢力があった・・・。ウン。実はこの本はシリーズ第4作。最初とまどったけど,キャラが実に生き行きしてる。
念願のマイホームを手にいれた母娘。しかし,窓が鏡となっているその中古マイホームで,不思議な怪現象が始まる。調査を依頼された渋谷サイキック・リサーチは,さまざまな機器を持ち込んで調査に着手する・・・。雰囲気が実にいいんだけど,ノドにささった骨のように気になる点がある。肝心の渋谷サイキック・リサーチの面々の登場が突然の感があるのだ。これって,シリーズものなのか。フーン。探偵役を入れ替えれば,大変な傑作になりそうな予感がある。
凍土地帯にあるテン・タウンズを襲う蛮族を撃退したダーク・エルフのドリッズド達。しかし,邪悪な魔法使いが街を狙って動き出す・・・。AD&Dの世界だが,なんだかとても良く書けている。登場人物が生き生きとして,期待を裏切る楽しい筋立てだ。うん。評価したい。
恐るべき姫神の霊に取り憑かれた竜憲。竜憲の友人の大輔の前に美しい女が出現するたび,誰かが消える・・・。小説自体としては,標準レベルだとは思うが,ちょっと時間を置いたら,まったく筋を思い出せなくなってしまった。シリーズ物なのだが,印象薄き作品。
瀬戸内海の豪族の小松氏の跡取り,尚隆が,廃墟となった雁国の新王となって二十年。地はようやく緑となりつつあった。しかし,延麒の六太が,妖魔を友とする更夜に誘拐される。元州の反乱だった。貧しさ故に共に捨てられた六太と更夜。そして,尚隆はどう考え,どう動くのか・・・。いい。実に。この本は,ついに古本屋に出るのを待ちきれず,定価で買ってしまった,ボクにしては最近めずらしい作品だ。このシリーズは,講談社文庫から再録が始まったが,残念ながら,美しいイラストがなくなったし,それに高い。ホワイトハート文庫で買えるうちにあわてて買ったのである。
ABCショップの片隅にいつも座って,ヒモをいじりながらロンドン中の怪事件を解決する隅の老人は,安楽椅子探偵のはしりである。隅の老人の正体がまったく分からないのも面白い。作者のバロネス・オルツィは,あのロマンチックな名作「紅はこべ」の作者でもある。1901年の作品なのだが,優れた作品はまったく古びないものだ。
マサトの肘のかさぶたがドンドン成長し,ついにかさぶたスーツとなった。マサトは裸になって,このスーツを装着すると,ロックマンとなるのだ。しかし,山内山製薬会社が,怪人達を作り出し,ロックマンを狙う・・・。まず,楽しく読めた。もちろんリアリティーは殆どないので,ちょっと戸惑う作品。
ついにランバルド皇帝艦に迫ったディアス。しかし,辺境より巨大方舟が人類抹殺のため動き出してしまった。能力者を結集して迎え撃つリナ達だったが・・・。終わり。終わりだ。思わぬ良作の発掘に,とてもうれしい気分である。
元地球のあった場所に帝国軍の超亜空間技術を持ったセカンテラに忍び込んだアドル達。しかし,人口知能ベルドネスと皇帝ランバルト,皇太子レオンがそれぞれの思惑で動いていた・・・。おお!やっぱりすごい。最後の頃なんか流れるようじゃないか。リナのキャラ以外はみごとに動いている。概して敵役の方がいい感じだ。
猫族のアドルの長屋の屋根を突き破って飛び込んできたのは,200年間封印されてきた巨大戦艦ディアスの艦長の孫娘リナだった。ディアスを利用すようとする帝国の陰謀を阻止するため,アドル達はディアスに潜入する・・・。む?なかなか。すごい勢いの作品だ。背景世界もしっかりして,これは良作じゃないか!
ゴーレム娘ファンファンが誘拐され,ギョーザ兄妹は元人買いのシャー・フーと共に砂漠の病院へ向かう。そこにはハーメルンの笛吹きの救いの悲しき結末が待っていた・・・。極道くんにしては,真面目な作品。ホラーがチョッピリ入っている。悲しいような結末には驚いてしまった。
会社をクビになり,そして恋人に振られた二人は,気分転換に温泉に行くことにする。しかし,そこで出会った美人に勧められて就職した会社は,実はドロボウ会社。社長の命令で大蔵省造幣局に研修社員として潜入した二人が企んだことは・・・。ウン。もうちょっと期待してたけど,まずまず楽しめた。清水義範の作品だから,もう少しとは思うんだ。ちょっと浅い。
オキタ運送が引き受けた仕事は,アルハンブラ星人のタマゴの運送だった。しかしまさか,コンピュータが狂って,そのタマゴが全部赤ちゃんになって,狭い宇宙船で36人ものオシメを取り替えなくちゃならないなんて・・・。久しぶりに加納一朗の本を古本屋で見つけた時はうれしかったなぁ。うはっと飛び上っちゃった。宇宙運び屋稼業モノなんて,死ぬホドあるけど,やっぱり加納一朗の作品となると,格が違うね。
達也の目の前で,幼なじみの優衣子は天使に変身し死んでいった。そして,達也のめんどうを見てくれた優衣子のおばさんも,実の父親も。香港に飛んだ達也に,次々と襲ってくる天使たち・・・。これは,なかなかの作品。人を喰らう天使の目的も正体も分からないまま,復讐のため戦う人間たち。熱気と悲しみが全編をただよう。
第7王子討伐軍に参加したヴァグシャラは,第3継承者の王子とついに対決の時を迎える・・・。くわっ。よくやるわい。こんな具合なら,兄弟なんかない方がいいに決まってる。ひとりっこがオススメの小説でした。
兄の奸計を逃れたヴァグシャラだったが,今度は第4継承者の王子に毒を盛られる・・・。それにしてもよく兄達にやられる弟ですね。悪くないが,読後感弱い作品。
両性具有の子エルミアンに出会ったライラは,胸が引き裂かれるような恋に陥った。しかし,エルミアンは,最強の闇騎士ギアの生まれ変わりの身体だったのだ・・・。やっぱり,第1巻が一番だったなぁ。エッチな感じもいいんだが,なんだか深みがないよ。
科学技術探検隊に参加していたサトルは,謎の秘密軍に拉致される。何故か全宇宙統合を企む秘密軍総督ホルド・ムッソは,サトルを後継者としようとするのだ・・・。宇宙史シリーズ第5巻にして最終巻である。第4巻の傑作には及ばないが,これで終わりかと思うと,寂しい気持ちがする。清水義範の作品なんだもの。
フランスでようやく王子を救出したジムだったが,恐るべき魔法使いとの戦いが待っていた・・・。ゴードン・R・ディクスンは,ホーカーシリーズがとても傑作だった。中学生の頃,塾がキライだったボクは,塾の時間の直前に本屋さんで「地球人のお荷物」を立ち読みして・・・全部1冊読んじゃって・・・塾の時間が終わったことに気づき・・・その本を(読んだにもかかわらず)買って・・・家に帰った・・・なんてコトを思い出しちゃった。
ドラゴンの住む中世異世界にアンジーと結婚したジムは,ある日目覚めると(また)ドラゴンに変身していることを発見する。折しもフランスでイングランドの王子が捕虜になったという知らせがあり,ジムは騎士としてフランスに出陣することになる・・・。前作「ドラゴンになった青年」の方が傑作だった。この作品は,ファンタジー色が強かった前作と比べ,中途半端に時代色があり,理屈っぱくなったためだと思うんだ。
アフリカのマタール港に忘れられぬ人妻を追ってやってきたサンダースは,奇妙な光に不安をかき立てられていた。そして,彼女のいるモント・ロイアルへの道は封鎖されており,港で発見された水死体の腕は水晶と化していた。サンダースは,時が消えゆき,結晶化しつつある森へ・・・。SFという手法を採った純文学である。登場人物は,狂気におかされており,かつ複雑である。そうそう。純文学ってそうなのだ。人間の内面をするどく描いて,分かったような,やっぱりよく分からないってやつ。昔はこういう文学をドサタリ読んだっけ。やはり文学ってキビシーですゾ。
謎の列車を記した時刻表を残して,妹のサオリは失踪した。妹を捜して達也は,豊川駅25時10分発新伯林行きの列車に乗る。そして,それがヒトラー第三帝国の軌道幅3メートル,機関車の全長70M,時速650キロの巨大機関車で,謎のゲルニカを追う冒険の始まりとも知らず・・・。星子ちゃんシリーズの前にヤマチャンの書いた創作処女作。これは力作だ。軽い軽い星子ちゃんものとは,レベルが異なる。絶版状態の全3巻中,手に入ったのは1巻と3巻だけ。2巻をいつ手に入れることが出来るだろうか。こんな傑作が判を重ねないなんて,嘆かずにはおれない。
会社艦隊の元軍人ベットは,身分を隠しステーションで職を求めつつ失意の日々を送っていたが,幸運にも辺境航行船ロキにエンジニアとして乗り込むことに成功した。過酷な宇宙生活の中で,彼女はロキが会社艦隊を狩るスパイ船だということに気づく・・・。かのものすごい勢いの作品ダウンビロウ・ステーションの後日談だ。前作の信じられないような熱気はないのだが,それでも少しかいま見ることはできる。
シーアキト領の第8継承者のヴァグシャラは,河南征伐を命じられ出発するが,それが第3継承者の兄のワナであった・・・。まあまあの作品。ジャパニーズ・ファンタジーとしては,悪くない水準だと思う。特段これはというトコロもないのだけど。
彦四郎は,時代を超えて,ルイ13世時代のフランスで,ダルタニャンやアトスと剣を交えたり,ロビンフッドやアイヴァン・ホーを助けたり冒険を繰り返す・・・。このシリーズは早くもオシマイ。もっと読みたかったなぁ。しかし,ダルタニャンが彦四郎との決闘に負けて銃を出すなんてところは許し難し。三銃士はそんなコトはしませんゾ。
愛州陰流の継承者彦四郎は,時間監視官の果心居士に誘われ,インカ帝国や古代エジプト,フン王国に赴き,その剛剣で歴史も守ることとなる・・・。歴史考証がしっかりとした異国情緒あふれる佳品である。隠れたる傑作であろう。
華陽に恨みを持つ者の罠にはまり,男でありながら妊娠してしまった・・・。うがーっ。つまんなーい。筋を書く気にもなれん。公平の見地から星3つはあげざるをえないが,たんじゅーんなお気楽キャラはがまんならーん。
両親に死後婚を勝手に決められてしまった冥界の愛玲は,兄の次郎神君に閻羅王失踪の調査を命じられた華陽たちに出会う・・・。冥界の設定はなかなか魅力的な作品。惜しむらくは,キャラクターに魅力がないのだ。かくもステレオタイプの深みのない有様では。まったく,モッタイナイ作品。
ロンドンの音楽学校に留学した香織は,そこで日本人の柳佑という青年に出会う。彼は風邪をひいた時だけエスパーになるのだ。しかし彼の超能力を欲しがる貴族と・・・。ストーリー的には買うモンなし。でも,イギリスに関するミニ知識が楽しいのだ。
局地的な限定戦争で使用されたウィルス兵器。ただの風邪の症状となるだけのはずだった。人類絶滅を防ぐため,ミロクの宇宙保健機構は真実を隠しつつ必死の解決策を探すが・・・。宇宙史シリーズ第4巻でついに抜けた!単なるスペースオペラを。感動の人間ドラマを歌い上げる傑作。みごとな宇宙史としての広がりを見せてくれた。
火星から戻されてしまったマイクル・ケインは,物質転送機で独力で火星に向かう。しかし,彼の愛する国カーナラは妖女の陰謀により滅亡の危機に瀕していた・・・。バロウズのコピー。ムアコックは,ヒロイック・ファンタジーはいいが,どうもこのタイプの作品は。まだ,オリジナルのバロウズなら許せるが,この安直さ,このご都合主義はつらいな感じだ。
流刑惑星ハーデスに到着した囚人のログ・カーターは,ハーデスがユートピアであることに驚く。囚人船で知り合った少女キムと結婚し,新聞記者として快適な生活を送っていたある日,キムが誘拐される・・・。ハーデスの秘密が明らかになり,カーターの正体が次第に分かってくるのは,なかなかサスペンスだ。ローダン・シリーズはとても読む気がしないが,ドイツSFって,なんか好きだなぁ。
マキシミリオンの落とし子マクスターは部族と違う自分に悩んでいた。ある日,砂漠を越えてやってきた狼に導かれ,自分の出生を知るために砂漠へ旅立つ・・・。3作が3作とも,信じられないほどの苦労の旅を通して,主人公が成長することを筋としている。SFとして決して著名な作品ではないが,ボクは高く評価したいと思う。クワナールがこれでオシマイなのは,とてもとても残念だ。
死んだ人間が,墓場から復活し,そのカルマを昇華するという霊樹界。はぐれた少女ミミリを探して,樹界参入者のパンタは,ヤップという町にやってきた。そこは,参入者をモノとしてしまう異常な町だったのだ・・・。大霊界シリーズは,とても深い世界観を持った傑作。どこか,エロティックだ。岬兄悟は,軽〜い小説だけでなくて,とてもユニークなイマジネーションの小説を書いてくれるのだ。ソノラマ文庫のインナー・テラリストシリーズも傑作だし。
突如父の跡をついで,ヒーローになることになった哲也に次々と襲いかかる悪の組織・・・。久々の星ひとつの作品。貴重ですヨ。もともとは,マンガの原作を無理矢理小説にしたもので,デキわる〜い。せめて,もう少し手を入れないと,小説として出版して,安からぬ金を出してこれを買う読者に失礼だと思うのです。(ボクは別に気にしませんけどね)
マキシミリオンに地球を追放された二人の魔術師を倒すため,エルロンは三千年前の過去から来たシャナーラに助けを求める。物質転送装置をくぐり抜けた二人が見たのは,灼熱の砂漠だった・・・。非常に好ましい恋と冒険の物語である。前巻の方が雄大な雰囲気があったが,物語としては,こちらの方が優れている。題名がいかにもB級っぽいのだが,すぐれたる名作と言える。
ペンシルバニア州の巡査部長カルヴィンは,平行時間警察の移送フィールドの事故で,別の次元世界に飛ばされる・・・。中世に似た世界で,現代人が裸一貫で(知恵で)道を切り開いていくというパターン。良作と褒めたい。40年も前の作品なのに,最近の日本の同パターンのやつよりよっぽどいいよ。
マキシミリオンは,ある朝目覚めると超能力者になっていた。しかし世界は10人の超能力者に支配されていたのだ。彼らの罠に落ちて,マキシミリオンは,異次元世界へ飛ぶ。恋人フランを求めて。そして,超能力を失って・・・。相当血なまぐさい傑作だ。雄大な世界の雰囲気を見事に描いている。どうも文が読みづらいし,展開があまりに早すぎるとも思うのだが,傑作は傑作。この筋で3冊分くらい書いていいと思う。
あのコナンを書いたハワードのバロウズ風SF。地球人イーソ・ケアンが彼方の惑星で大活躍するっていう偉大なるパターンなのだ。正直言って,蛮人コナンの雰囲気を期待していると相当がっかりしちゃうんじゃないかと思うが,バロウズ(風)物と思えば,悪くはない。でもなァ・・・やっぱり,コナンを書いた作者とは思えない作品だよ。それだけ,コナンが永遠の輝きを持っているってことだろうが。
この世を地獄と化そうとする悪霊たち。征人らは,悪霊を虚空間に引きずりこんで戦おうとする・・・。惜しい!惜しすぎ〜。最後の1巻でこの傑作がランクが下がってしまった。筋立てを急ぎすぎたのか。あの怪しの雰囲気が並の小説の超能力合戦になってしまった。2巻までは,最高の出来だったのに,もったいないよ。
次なる戦いの地は,下北半島の恐山。しかし・・・。立派に恐山の観光ガイドにもなる作品だ。読者に暗い予感を抱かせつつ,明るく名所を案内するうまさがたまらない逸品。ただ,1・2巻に比べるとわずかに質が落ちるか。
出羽三山で異変が起こったことをしった征人は,羽黒山へ向かう。邪霊が蘇えろうとする西補陀落を探すが・・・。自転車でトンネルを走るシーンと西補陀落が見つかるシーンが心に残る作品。場所の描写がとてもうまいのだ。まるで,そこに行ったような雰囲気が味わえる。
大学生のスポーツマン征人は,思わぬきっかけから大峯山奥駈け修行に参加することとなった。それが邪輪廻を繰り返す悪霊との戦いの始まりとも知らずに・・・。清水義範の久々の4部作を古本屋で見つけた時の喜びよ。この作品の中の山伏の修行のシーンは,実にすばらしいと思う。これだけの筆力を持った作者は日本には少ないのに,評価されていないことをいつも惜しまざるを得ないのだ。
ノスフェラスを旅するグイン一行は,謎の嵐に巻き込まれる。そして蜃気楼の娘に案内されて古代王国カナンの悲劇を目にすることになる・・・。どうも,ボクは外伝の方が面白いと思っている。早くグインがケイロニアに帰って,本伝と合流するといいと思うんだけど。この巻は,淫魔ユリウス大活躍の巻なのだが,最近ユリウスが好きになってきた。グィン登場人物中一番正確が明るいんじゃないだろうか。
ボルタックの酒場を繋ぎ目としたウィザードリィ短編集。忍者や盗賊などが主人公となっている。いや〜。ぶっつづけにウィザードリィを読んでみたけど,またゲームがやりたくなっちゃった。PC-8801mk2SRでやった,やりまくりましたよ。夜も寝ないで。もう,ムラマサなんか見つけたって,ダガーくらいもうれしくなくなったくらいね。
エルフに育てられた魔術師ヴァルと商人貴族の戦士アシュエルは,それぞれの目的を秘め,古代皇帝ハルギスの迷宮に向かう。魔王との契約を果たし,人間最高の魔力と狂気を得たのは,それを望んでいたヴァルではなく,アシュエルだった・・・。これはすぐれた小説だ。この次の巻が読めたら,もっと星が多くなりそうである。でも,古本屋にはこの1巻しかなかったからなぁ。もっと読みたーいんだけど,手に入るかなぁ。
リルミガンの魔法使いタイロッサムが,地下迷宮に身を潜め,魔物を召還し始めた。女王アイラスは,タイロッサム討伐のため冒険者を募る。パーティを組んだアスワン達は・・・。ゲームのウィザードリィの特徴を忠実に再現した小説。経験値を積み,街で休息し,また深いダンジョンに潜るの繰り返しだ。小説としては,さほどではないが,昔ウィザードリィに燃えたボクには,とても面白かった。
魔界のとんち小僧一休は,寺の床下にあった和尚の宝箱を盗もうとしたことから,人間界に出かけるハメになった。それが,あのゴクドーとの出会いが待っているとも知らずに・・・。極道くんもので,ボクが一番好きなキャラクターは,一休なのだ。もちろん,一休さんだから,絵のトラを退治したりするとんち小僧だけど,ちょっとアニメの一休さんとは違うところもある。人間をダマして,その魂を食べちゃうってトコ。
魔界の王子ニアリーには,男勝りのいとこフローラがいた。闇の女王による二人が結婚話から,二人は魔王の後継者の座を争って冒険の旅に出ることになる・・・。コクドーくんものにしては,なんかまともな作品。アクの強さがない。そこらへん,ちょっとさびしいのだが,ラストで,うわっとなるので,それをお楽しみに〜
幻想探偵社に依頼に来た女子大生は,寮で血液型順に人が殺されていると言った。寮にもぐりこんだ三四郎と知子は,一転二転する謎を追う・・・。さすが,一筋縄ではいかない清水義範である。本格推理と思われた結末の転回はおみごとである。残念ながら,このシリーズはこれでオシマイ。もっともっと書き続けて欲しかったのに。
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜るるるるるるるるるる・・・・・。長い長い中国大陸の過去物語りは続く・・・。このシリーズとは,長い長いつきあいだ。高校時代からだからね。なんか最初の頃のストーリーはゼーンブ忘れちゃった。
父の開拓事業を手伝うために惑星ルシャナに向かったリュウの乗った輸送船が,何者かに爆破される。宇宙を漂うリュウ達を救ったのは,海賊だった・・・。真面目なスペースオベラのノリがある。宇宙史シリーズ第2巻。
19世紀半ばの倫敦。職を失い救貧院行きを恐れて,記憶喪失を必死で隠すモンク警部。貴族の屋敷で起きた殺人事件は意外な展開を呈し,警部は窮地に陥る・・・。シャーロック・ホームズより四半世紀も前のヴィクトリア朝初期の時代をみごとに描き出した傑作。そして,モンク警部は,失った自分の経験を必死で取り戻しつつ,孤立無援の捜査に奮闘するが,時々,過去の自分を知る時に,自分は野心に燃え,優秀だったが,いやなやつだったと自己嫌悪に陥るところなど,とても共感できる。600ページにもなる重厚な作品だが,一気に読めるだろう。
人類の指導者オル・シドの不治の病を治療するため,シドの娘マリアは,不死人調査隊に参加し,惑星モンジュに向かう。しかし,軍事局の陰謀が・・・。日本人SF作家により数少ない宇宙史シリーズである。あまり壮大な空間は見えないが,日本のSFとしては,まじめにSFに取り組んだものとして,評価したい。最近,こういうのって,少ないからね。宇宙史シリーズ第3巻。
夜毎うなされる夢は,仁のことを闇の戦士という。そして,悪の戦士として闇に目覚める前に倒すべく,光の戦士が仁を襲う・・・。ホホウ。なる程。こうなってたんだ。ふふーん。えっ?何を言ってるのかって?いや,意外なヒネリがあったもんで。でも,楽しく読めたよ。
高校生3人組の前に現れたスパイが置いていったのは,恐ろしい細菌爆弾だった。デッカイコトをやりたい!3人の冒険が始まる・・・。なんか,粗筋は良さそうなのだが,ウーン。感情移入出来ない。やることが,ただ人騒がせで,主人公達に同感できないのだ。それに,催眠術で話しをまとめっちゃうなんて,いけないよね。
世田谷区地下十階のダンジョンにある高校に転校してきたのりこは,相当天然な女の子。しかし,ダンジョンと言うからには,怪物やトラップがいっぱいなのは,当然であった。危険な地下にあるスーパーほど,値引きがいいといった世界・・・。結構楽しい軽いノリの作品。銀のクチバシのコカトリス5個か金のクリバシのコカトリス1個を集めると,なんと!なんて話って,楽しいでしょう?
ラヴクラフトが考案したクトゥルー神話もの。あの「死者の書(ネクロノミコン)」を著したアブドゥル・アルハザードの陰謀の連作短(中)編集である。本家ラヴクラフトの不条理な恐怖感は,全編にただよってこないが,人間ドラマとしては,なかなかの筆力である。古代アッシリア,ペルシャ,エジプトの時代をみごとに書いている。
テレビの宇宙捜査官ギャレットのスタントマンの三四郎は,撮影の休憩時間中に少女を襲う怪物をサイコ・サーベル(もちろんプラスチック)で叩ききる。しかし,(よくあるように)その怪物が本物の悪の宇宙人で,少女が惑星のプリンセスだったのだ。幻想探偵社に就職した二人は・・・。うーん。楽しい〜。こういう作品って少ないんだよなぁ。ヘタな推理小説より,よっぽど面白いよ。
父の遺言でニューヨークにやってきた悠宇は,巨大企業体GAILに狙われつつ,オウストラル島へ向かうこととなる。そこで青い巨人ゴーグと出会った悠宇は,導かれるまま・・・。昔アニメで夢中で見ていたっけ。1つの映画を読むような流れるような筋立てが実に思い入れがある。それに,ゴーグがなかなか出てこないなんて,巨大ロボットアニメとしては異色だった。
木から落下したショックで,ドラゴンにとりつかれたヨンヴィル国騎士団虹の谷支部長アシャ・ネビィ。そんな時に限って,騎士団から監査がやって来ちゃったりするのだ・・・。結構楽しんでしまった。実はボクは,楽園のメンバー?の中で,アシャが一番好きなのだ。
少年洋次は,謎の失踪をとげた美少女まゆみを追って上高地へ向かう。それが恐るべき「地獄の火クラブ」との壮絶な戦いの始まりとも知らずに・・・。どうもいささか筋立てに無理があるような気がするのだが,雰囲気は悪くない。というか,結構好きな感じなのだ。筋立ての難が実に惜しいことだ。
ヘルシング教授が敗れ,ドラキュラがヴィクトリア女王の夫として,英国に君臨する時代。吸血鬼の娼婦を惨殺する怪事件を追って,吸血鬼の美少女ジュヌビェーブとディオゲネス・クラブ(闇内閣)の諜報員ボウルガードは・・・。600頁もある大作にちょっと手こずってしまった。これは真実,大作である。吸血鬼小説としても,すばらしく楽しめるが,特にシャーロック・ホームズ時代の小説が好きな人にはたまるまい。ジキル博士やモロー博士,ラッフルズなどが少しづつ登場。ボクなんかニヤニヤしっぱなし。
吸血鬼の美少女ジュヌビェーブは,選帝侯の皇子オスバルトのパーティと共にドラッケンフェルズを倒す。そして,25年後,ドラッケンフェルズの砦で,あの時の冒険の劇が始まる。そして恐るべきドラッケンフェルズの罠が・・・。かなり複雑な作品。しかもユーモアと恐怖たっぷりの傑作だ。相当の筆力がないと,こんな作品は書けない。
三日戦争の後。放射線に汚染されサチュロスの群や巨大なクロコウモリが徘徊する地球。地球の支配者であるペガ星人のガイドとして選ばれた地球美術遺跡史料保存局長コンラッド・ノコミス。しかし,彼は歴史の中でいくたびか異なる名前で偉業を成し遂げた不死の英雄であった。コンラッドは,謎の使命を帯びたベガ星人と,さまざまな思惑を持った同行者と共に,荒廃したエジプト,ギリシャへと向かう・・・。SF未来叙事詩の名にふさわしい名作である。みなさんは,これを読んで何を得ることが出来るのだろうか・・・。
スペースコロニーに牙を向く犯罪集団ゴーム。キオは死に絶えた地球へゴームの秘密基地に忍び込む・・・。いいSFなんだけど,いまひとつ印象が薄いかな。正当派は正当派なのだが,なにかが足りない。でも,安心して読めるよ。
最も尊敬出来る名探偵は,シャーロック・ホームズでも,フィリップ・マーロウでもない。ブラウン神父である。かつまた,最も芸術的な推理小説もブラウン神父ものである。ブラウン神父は,カトリックの坊さんだが,こういう人が近くにいてくれたらなァと思う人である。すばらしい描写と推理が渾然一体となった大傑作である。古今の推理小説のベストは間違いなくブラウン神父シリーズなのだが,いまひとつ知名度が低いのはなぜなんだろう?
神話時代。今は無き大陸には大国ミヨが一大帝国を築き上げ,日本にも都市文明が発達していた。記憶を失ったタケルを謎の魔犬がつけねらう・・・。ふーむ。アメリカでいえば,1950年以前のクラシックヒロイックファンタジーだ。これは昭和54年の作だけど。タブンそれを狙ったのかなぁ。その意味では成功しているけど,読後感がいかにも薄いんだ。
黒太子スカールは芸人に身を隠し,ナリスに会う。ナリスとスカールの長い長い話が始まる・・・。さすがに65巻ともなると,前の筋を忘れてきた。グインサーガにめずらしくスカッとしたスカールもなんかネチっこくなり,ナリスなんて,めちゃくちゃネバネバである。救いはリンダであろう。やっぱ,リンダはいいなァ。
謎の宇宙船に襲われた地球は,ガイゼル将軍を指導者に立ち上がる。しかし,将軍は暗殺され,その犯人として副官の鮫島豪がカプセルで宇宙空間に追放される。それを助けたのが駆逐官の船だった・・・。地球に愛憎の念をもつ駆逐官シャークの物語のはじまり。とてもスリリングでいいSFらしいSFだと思う。こういう作品って最近ないんだよね。
紀元前54年,少年アシラスは,エジプトプトレマイオス朝の王女クレオパトラと出あう・・・。なかなかいい時代を背景に選んだと思うが,それを生かし切っていない感。アシラスが突然,正義の神の子となって戦いの神の子と戦うなんて,なんてムチャな。この物語の終わりはクレオパトラの悲劇しかないと知っているだけに,ちょっと,ね。芙
歴史改変の次のポイントは,第二次世界大戦の日本の勝利を阻止すること。リーナにそう告げられた恭太だが,リーナを見捨ててしまう。しかし,陸軍や特高に追われるリーナを見て,恭太は・・・。恭太にとっても現実は,第二次世界大戦に勝利した日本だった。そして,現代に至るまで愛国教育は浸透していた。真実に目覚めた恭太の行動は・・・ラストが実に感動的である。
皇帝である祖父の命令で,ダナディアは砂漠の遊牧民との外交交渉に赴くこととなった。しかし,突如現れた砂嵐に巻き込まれ,気がつくと彼女は,その遊牧民の奴隷となっていた・・・。なんともクセのない作品だ。そこが好きなんだけど。安心して,読めるしオススメできる。恆
元の世界に戻ってしまった恭太は,プールに出かけても女の子の水着姿を鑑賞するどころか,リーナのことを考えてばかり。願いかなってリーナに呼ばれた先は江戸時代。歴史を変えて,第三次世界大戦を阻止するために・・・。前巻ほどじゃないが,これまた面白かった。ちょっとムチャクチャな感じなんだけど味わい深い。それにしても,ロボットなのにリーナって色っぽいんだ。
巨大なスペースコロニーに地球滅亡の報が入った時,やむにやまれぬ衝動にかられたキオは,ゼンダー公園へと向かう。そこには天才科学者ゼンダーの遺志により宇宙船が隠されていた・・・。実に正当派スペース・オペラだ。いろいろ今風の工夫はあるが,この根底に流れるものは間違いなしの太鼓判だ!
4700年もの生を強いられた高校生の森央。ようやく3000年が過ぎ,時代は古墳時代へとなった。中国からきた方士を巡り,古代朝廷の骨肉の争いが起こる・・・。森央の存在感が狂言まわしにもならぬほど薄れてきたので,星が減ってきた。しかし,このストーリーはすごいと思う。もうないのかと思ったこのシリーズの第3巻が見つかったのは,大変な喜びであった。しかし第4巻は出ているのかなぁ?
オンナノコのことばかり考えている高校生の恭太は,「戦法・カプセル腐食」と叫ぶ大男に襲われている美少女リーナを助けたのが,異次元空間を通り抜けるハメになったきっかけ。その世界は,ラード族とホワイ族の戦う不思議な世界だった・・・。不思議で愉快な作品。あれよあれよと物語は思いもかけぬ方向に進んでいく。恭太のキャラクターもすばらしく,(実はロボットの)リーナとの恋人関係の進展も楽しい。これ,いいよ〜。ラストが効いた。
ネコに変身出来る玉美は,ピコという仔猫を助けるが,ピコの主人マサルは幽霊に命を狙われているという。ワォ〜。なんか軽いなァ。もう少しなんか欲しいんだけど。こう,グッとくる感じが。
刑務所から出たばかりのギルは,借金返済のために幽霊船探しと王家の神器探しを請け負う。そして,気が乗らぬままに刑務所衛星アルカトラズXへ向かったギルは,失われた記憶を取り戻す・・・。大いなるパターンかと思いきや,このドンデン返しのラストはすごい。正直,びっくりしてしまった。こういうのって,センス・オブ・ワンダー(チョッピリ小さいけれど)なのだ。さすがは,中村うさぎ。
魔都ケルベロスで房中術で他人の生体エネルギーを奪う酒仙の少女・・・。エロチズム・アクションってやつみたい。ありがち〜。キライじゃないけど・・・。
考古学者のヒルディが発掘したヴァイキングの船は,サーガに唄われる英雄達が眠っていた。千年の時を超えて邪悪な魔法使いから世界を守るために・・・。楽しいユーモア・ファンタジーである。軽くてセンスがいいんだ。こういうのって大好き。
裏高野の退魔師孔雀は,尊属殺人の罪で山子法廷の召喚を受けた女子高生の弁護人として出廷することになった。水子と化粧品の謎とは・・・。実は,ボクはヤングジャンプで長いこと漫画の原作を読んでいたのだが,フム。雰囲気がなかなか出ている。社会問題を取り扱っているのもなかなかだ。ちょっとこの作品は,ゲゲゲの鬼太郎の風もあり,なかなかではないか。
太平洋戦争末期,沖縄決戦のために戦艦ヤマトと出陣した潜水艦ゼロは,敵空母に特効をかけた瞬間,そこは月面だった。しかも西暦2100年の・・・。いかにものドキドキする筋立てだ。B級SFの傑作とでも言おうか。こんな正攻法のSFって,最近なかなか読めないんだ。
児雷也の「行長神社教団」は,新興の「宇宙万有教」に信者は奪われ,やられっぱなしだった。そう,敵の教主オー・ロチマーは,児雷也のライバルの宇宙人だったのだ。児雷也がカエル,オー・ロチマーがヘビ,そして,三竦みの状態に持っていくためのナメクジはいったい誰が・・・。現代の新興宗教流行りの日本を思わせるような先駆的筋立てである。昭和54年の作品なのだから,スゴイよね。
高校生で幼なじみの竜介と幸代は,長崎県の天草灘をモーターボートでデートをしていたら,突然濃霧が襲ってきた。そして,その世界は,大清帝国に占領された九州だったのだ・・・。なんと言ったらいいのだろう。コバルト文庫とは思えないくらいハードで残酷な描写があり,また,二人結ばれていく過程はとても楽しい(かつ,エッチ)。それでいて,ホノボノとしている。不思議な傑作なのだ。おすすめしたい。
子連れの元剣闘士ラリーは,故郷の惑星の虐殺をした敵を追って,惑星デーモンに侵入する・・・。きっと,このシリーズは,ジャック・ヴァンスの魔王子シリーズがアイデアの元になっているような気がする。清水義範だけあって,出来は悪くはないのだが,魔王子シリーズと比べると相当落ちる。主人公が,筋肉型脳ミソの持ち主なので,こういう筋立てになってしまうのだろうね。
トリトン族の生き残りのピピを見つけたトリトンだったが,イルカ島は,ポセイドン族に破壊され,トリトンとピピはトリトン族の秘密を探しに大西洋へ向かう・・・。ああ。そうだったんだ。ポセイドン族とトリトン族の悲しい運命は。オリハルコンの秘密は。そして,トリトンとピピとイルカたちは,どこへ旅立っていったのだろう。
広がる海の彼方には,何があるというのだろう。トリトン族最後の生き残りトリトンは,白いイルカのルカーに導かれ,イルカ島へ旅立つ。そして,ポセイドン族のドリテアやポリペイモスが次々とトリトンの前に立ちふさがる・・・。手塚治虫原作の漫画よりアニメの方が優れていたというめったにない傑作アニメの小説化。これを読むと,白いイルカに乗った少年が目に浮かぶ。オリハルコンの短剣を手に。
小西行長の子孫,元大名の小西家歴代の当主は,代々赤貧の生活を送っていたが,今日も16代当主(やはり相当貧乏)のもとに家臣の三天王が集まり,小西家再興の相談に余念がなかった。ところが,今日はいつものマージャンではなく,えらく興奮している様子。そう,5代当主の家臣であった児雷也が200年の眠りからさめて,小西家を再興する日が近づいているというのだ。17代当主となる若君(でも高校生)の行儀は・・・。いや〜。すばらしい導入部である。ただ・・・児雷也がG・ライヤーという宇宙人で,宇宙戦争という後半がなんとも残念である。導入部分の絶妙な雰囲気で物語りが進めば,本当に大傑作になっただろう。ああ。モッタイナイ!
魔術師の白乾児や男爵先生との息をもつかせぬ知恵比べ。アニメの方ではなくて,原作の方の小説化に近いだろう。実はボクはテレビ第一シリーズのルパンが大好き。鼻声で「フ〜ジコちゃん」と言っている後期ルパンはあまり好きではないのだ。第一シリーズのルパンは,アニメとしては対象年齢が相当に高く,アダルトであった。子供の頃はこれが好きで好きでしょうがなかったっけ。そういえば,子供の頃,実写の映画の看板を街の中で見つけて,気になってしばらく足を止めていた記憶がある。今から思うと,ちょっぴりエッチな映画だったに違いない。おっと。こちらの小説に戻るが,相当に出来がいい。さすがアニメ界の名脚本家の辻真先だけのことはある。
夏祭りの占いの司会をしていたエイザートは,ベルツ=レクサ王国の王子からとらわれた国王救出を依頼される・・・。魔術師の塔「楽園」の少女達の物語。明るい・・・ね。4人の少女ともなると,キャラクターの書き分けをこうしなくちゃならないんだね。こういうホンワカファンタジーも稀少だ。
池猫中学校の探偵同好会「水島秋探偵事務所」のメンバーは,調査部長の圭介と調査員の長島クンと所長のアキだけ。探偵の練習に余念がない彼女らだったが,圭介の小六の時の行方不明になった女子大生だった家庭教師の捜索を依頼される。そして,中学生の探偵達が大変な苦労の末,たどりついた結末は・・・なんとも言えない・・・。作者のネームバリューで読んでみた作品(「中二時代」に連載)だが,とてもいい作品だ。
ガド王に命により海の王国に密書を届けに出発したシャル一行は・・・。なんとも言えません。唯一の工夫は美しいリラ姫が月光を浴びると極悪ガルディス王子になるくらい。
またイシュトである。題名の通りの筋。グインサーガの主人公はイシュトなのではないかと思う。ボクは実はアムネリスが大好きなんだが,イシュトの彼女を利用するばかりのズルイさがガマンならん。クッソー。ボクのアムちゃんを!
竜堂四兄弟は,国際演劇祭に向けて盛り上がる地方都市へ,演劇学園の行方不明者の調査のために訪れる・・・。やっぱりいいなァ。出来のいい小説を読むってことは。人ならぬ四兄弟の掛け合いもとても楽しい。次巻が待たれるのだが,田中芳樹の作品は出るのにとても時間がかかるのだ。でもその分良作なんだ。
ナリスの命によりアルゴスの黒太子スカールに密書を届けに草原を流離うリギアは・・・。グイン・サーガ63巻(現)において,最も明るい人スカールの久しぶりの登場。スカール以外の人は,いっつもネバッコイことを心の中で独白してばかりなんだ。どうも最近物語の進みが遅いと思ったら,独白部分がヤケに長いのです。
ポセイドン星系の大統領暗殺未遂事件を追うタケルとクマソは十年前の大虐殺の謎に迫る・・・。ユカイなのは,バー「シャンブロウ」でノースウェスト・スミスと金星人ヤロールがチョッピリ登場するのだ。いかんなァ。こういうのにどうも弱いんだ。
地球は,またまたあっさりと占領されてしまった。今度の敵は暗黒星雲帝国である。敵の捕虜になったユキは,帝国技術情報将校アルフォンといい感じだし,古代は古代で,姪っ子のサーシャとラブラブなのだ・・・。ウーン。やっぱりいただけませんなァ。敵も白色彗星だの,暗黒星雲だの,桃色ミニスカ惑星だの,パターンだし。
アルフ大陸制覇に燃える山の王国にだまし討ちにあった狩猟族の生き残りのシャル達は,山の王国ガド王の親衛隊に入る・・・。良くもなし,悪くもなしのジャパニーズ・ファンタジー。それ以外,なにも言えません。
南天博士の父親,十天博士は,ついに人工生命ドンドンを創り出したのだ。しかし,ドンドンはドンドン大きくなって,東京湾に上陸。街を破壊しつつ,ドンドン東京タワーへ向かう・・・。ああっ。やっと加納一朗の小説をもう一個メッケ出した。彼の本があると聞いたら,例えエベレストの頂上の古本屋だろうが,海底のアンコウの経営する古本屋だろうが,買いにいっちゃうもんね。ハッキリ言って。
ビザンツ帝国の弾圧された異教徒ニコスは,敵であるフィリッポス主教を呪殺すべく,ヘルメス像を求めてエーゲ海の島へ向かう・・・。天使の如き美青年のニコスを始め,キャラクターが今一つ印象が薄い感じだ。筋立てはいいと思うんだけど。
奴隷となっていた三姉妹を助けたバウザート船長は,彼女たちが惑星カレス魔女で,帝国や虫世界やヴァッチをめぐる銀河系レベルの騒動に巻き込まれるハメになるとは,知る由もなかった・・・。この本は,新潮文庫版だが,今はなぜか創元推理文庫から宮崎駿のカバーイラストもそのままに出版されている。新潮社で品切れになるところを,それを惜しんだ創元社が買い取ったのかなぁ。だって,イメージもきらびやかで,とても楽しい冒険SFだもの。
恋人に殺された奈緒美は,妖女となり,その恋人は超能力で権力の中枢に迫る。二人の戦いは・・・。一定水準はキープしているが,とりとめのなさも目立つ。この手の菊地作品はあんまり好きではないのだが・・・。
福岡支店に左遷された銀行のエリートマンは,失意の中,謎の女に邪馬台国の秘密を解くように言われる・・・。実は,ボクって,邪馬台国とか古代伝奇モノって,大好きなんだ。銀行の内紛はオモシロイんだけど,ちょっぴりウンチクがもの足りないし,ラストが急すぎて,もったいない作品だ。でも悪くないよ。
妖霊に襲われた美浜を助けたのは,十文字亮。妖霊退治の国際組織「ムーン・ライト」の支部員である・・・。おそいかかる妖霊どもを,次々と倒すだけの作品。悪いってほどじゃないが,残らない作品。
ランプの宿として知られるひなびた死の影温泉に出かけた女子大生3人は,そこで混浴同好会を自称する男3人組と出会う。それが恐るべき結果となると知らずに・・・。女子大生・温泉・混浴という三大哲学テーマに挑んだ作品。スリリングな展開は,まさにこの数ある三大哲学テーマ作品の中でも,最高傑作の判を押したい。雰囲気もバツグンである。それに・・・とってもえっちなの♪
そして,古代進とデスラーは,マブダチになった。島なんて,すねてしまったくらい。今日も古代とデスラーは,ゲーセンで悪さをしに出かけている・・・。これは,ちょっとガッカリな作品。暴走するイスカンダル星を救うため,デスラーとヤマトが協力し,新たなる敵と共に戦うなんて。しかも,子持ち(古代守との間の)の人妻スターシャを,デスラーが「昔からキミが好きだった。ワオ〜♪]なんて言うなんて,許せます?ボクはアキれちまって。
黒牛島を逃れた充。しかし,目覚めたヴァイブは,東京へ向かい自衛隊と戦闘に入る。そして充も東京へ・・・。アヤシイ感じがなくなったので,ランクダウンの星3つ。それにしても,このシリーズ,この後の巻は出版されているのだろうか。どこにも(1〜3巻しか)見あたらないのだが。
地球は復興したが,ヤマトが廃艦になる。そして,古代進は,謎の巨大彗星が地球に接近する夢をみる・・・。良作だ。原作が良かったのだろう。顔を青く塗って,「ヤマトの健闘を祈る!はははは」なんてやっていた頃(そんなのするか!)を思い出した。このラストでヤマトが終われば良かったと思う。「その後の宇宙戦艦ヤマト」や「返ってきた宇宙戦艦ヤマト」,「ギターをひく宇宙戦艦ヤマト」など見たくはなかった。西崎プロデューサも麻薬は吸うわ銃刀法違反は犯すわだもの。では,ちと長いがおつき合い願いたい。いくぞー!「エネルギー充填完了!」「波動砲発射用意!」「波動エンジン内圧力上げろ!非常弁封鎖!」「波動砲への回路開け!」「波動砲安全装置解除!・・・セイフティロック・・・0・・・2・・・最終セイフティ解除!内圧限界へ!」「タキオン粒子出力,上昇!」「発射十秒前,対ショック,対閃光防御!・・・5,4,3,2,1,0!発射!」
リナを襲う魔導士協会の恐るべき風紀委員四百二十五人衆!リナを心正しき魔導士として教育するために・・・。スレイヤーズシリーズとも長いつきあいだなぁ。この本,すっごく軽〜く読めるんだけど,オモシロイんだよね。気持ちが晴れ晴れとしない時は,こういう本を読むといいね。
ついに,イシュトバーン対ネリイ・タルーのユラニア軍との激突が始まる。そして哀れなネリイは,ついに・・・。ウォーン!かわいそう。やっぱり,マイホームを持つんだったら,ケイロニアがいいなァ。ゴーラ三公国は,イシュトのせいでメチャクチャだし,パロも陰謀ばかりで,中原の宝石とは名ばかり。キタイは,ヤンダル・ゾックがいるし。住環境の良さでは,やっぱりケイロニアで決まりですな。
今度はライラは性無(ノア)になっちゃった。ヨシュアに見られたくなーいと闇都市エデンに旅立ったのだが,バラ(スケベ)の化身ローゼスが・・・。結局,ライラはノアのまま。これじゃかわいそう。だって・・・ね。炎雷シリーズの手持ちもこれでオシマイ。また探しにいかなくちゃ。
トーラスからの帰還命令を無視しながら,ユラニア制圧に軍を進めるイシュトバーン。その頃パロでは,ナリスとヴァレリウスがネットリとした陰謀をたくらんでいた・・・。どうも最近,このシリーズ,心の独白ってのが多くて,筋が進みませんなァ。紺碧の艦隊もそうだったけど,長くなるとそうなっちゃうのかも。ああっ。リンダが登場しないかな。ボクって,リンダファンなんだ。実は。
魔導師殺戮用に創られた両性具有の闇騎士ギアは,ヨシュアに術をかけて,パクパク食べちゃう・・・。第3巻は見つからなかったので飛ばしちゃったのですが,いや,このシリーズ,くせになりますなァ。なんか少年愛に目覚めちゃいそう・・・。あれ?読者の皆さん。どうしてそんな白い目で見て後ずさっているのですか?わーん!そんな,美少年が好きだなんて(思ったダケで)言っていませんよー。
アリの罪業をようやく知ったイシュトバーンは・・・。しかし,イシュトバーンって,こうもニブクてよく皇帝の地位なんか狙えるなって思っちゃう。なんかイライラしちゃって。グインがいない中原の世界は,ネットリしてるのだ。
1906年,それはアルセーヌ・ルパンが初めて世に出た年である。この本は,最初のルパンの作品集だが,少年の頃のルパン,若き頃の大失敗など神出鬼没の怪盗の意外な一面を読むことが出来る。古風な文体での翻訳も実に名調子である。この作品は,創元推理文庫版で何度も読んでいたが,また楽しむことが出来た。
辺境の族長の娘ディアラは,父との約束で半年以内に都で結婚相手を見つけてくることになった。しかし,次々と謎の殺人事件が・・・。しっかりと地に足のついたファンタジーである。安心して読めるのだ。樹川さとみって,派手さはないけど好きだなぁ。でも,なかなか古本屋にないのです。どーして?
Dの前に次々と現れる大貴族達。消耗したDはついに倒れる・・・。Dってカッコイイよね。クールで。女性に人気あるのが分かる。魔界医師メフィストは,ちょっと(せんべい屋に)ホモっ気があるから,1ランクダウンだ。
復活した最悪最凶の貴族ギャスケル将軍の元へ復活した大貴族達が集結する。謎の使命感にかられて・・・。菊地秀行の作品群の中で最も好きなのは,吸血鬼ハンターシリーズとエイリアンシリーズである。どちらもお子さま向けのソノラマ文庫なのだが,あんまえエロがないからなのかも。その方が純粋に味わえる。
グインと鬼面神,南面神との戦いはクライマックスを迎え,ついにグインは,ケイロニア皇女シルヴィアを救出する・・・。しばらく遠ざかっていたグインサーガに戻ってきた。思えば長いシリーズだなァ。中学生の時,本編第1巻の「豹頭の仮面」第1巻を手にして以来だもの。
紀元1世紀のキリスト教の東方の守護者となる若きプレスター・ジョンの冒険。王国づくりに性をだすプレスター・ジョンは,今度は熊神の王国の乗っ取りをたくらむ・・・。でも,結局いつも女で失敗して,せっかく創った王国を逃げ出すことになるんだけどね。まさか,伝説のプレスター・ジョンが,中国(タブン)で活躍していたなんて。1939年の作。
中学二年生の良平は,一時限目に授業中居眠りをして,気がついたら六時限目だった。その間,誰かに体を乗っ取られている・・・。オーソドックスなジュニアSFの宇宙人侵略ものだ。ちょっとなつかしい感じがした。
「ノーベル賞永久候補科学者会議」が東京で会合がもたれることになり,南天博士がその世話役を務めることとなった。この会合は,各国のマッドサイエンティスト達の発明を集めてグランプリを決めようとするものである。完璧防護スクリーン,無重力装置,聞こえないラジオ,ピラニア撃退服などの発表の中に,南天博士のうなぎマントがあった。悪の国際陰謀団が狙ったものは・・・。加納氏の作品で手に入ったのは,これでオシマイである。もっと読みたーい!
南天博士の大発明コピー人間製造機を使って,巨悪に挑む是馬と荒馬の兄弟。しかし,南天博士の娘ひろみに続いて,南天博士まで誘拐されてしまうとは!そして,岩窟王と三銃士と鉄仮面の正体は!謎は謎をゼンゼン呼ばない・・・。
問題児ばかりかかえたストーン一家は,ローリング・ストーン号を手に入れて,ルナを飛び出した・・・。うーん。宇宙の家族愛を単調に描いた作品なのだが,やっぱりさすがは,ハインライン。ある一定のレベルはキープしている。1952年の作だ。
クラス一の美少女ひろみから,バレンタインデーに虫下し用チョコをもらった是馬は,読心能力者となる。その頃,北川南天博士は,タイムマシンを発表していた・・・。加納氏の作品って,大好きなのだ。こんなオモシロイ作品,なんで有名じゃないんだろうか。
ヨシュアとライラは,ヨシュアのふるさと「闇の森」に遊びに行くことにした。しかし,魔獣商人のアサギにヨシュアは誘拐されてしまう・・・。うーん。やっぱりエッチだ。かなりスゲー。こりゃまたムッフッフ・・・
息子であり亜人間であるヨシュアを守るため,魔導師は,ライラ達3人の魔導人間を創った・・・。うーん。かなりエッチですなァ。しかも,アッチ関係。この作者が男であることが,トテモ不思議なのだ。それにしても・・・ムッフッフ・・・
蓬莱学園の校舎にセスナでつっこんだ彼の見たものは,ひとりの美少女だった。しかし,彼女は多重人格者だった。それも度の過ぎた・・・。テーブルゲーム「蓬莱学園」の小説の一つ。ものすごいパワーと深みを秘めたゲーム設定なのだ。このシリーズの最初の作品「蓬莱学園の初恋!」は,特にスゴイと思う。
ついに,二人はローマへ。大食い大会に出た二人は,それが縁で時の皇帝に会う。謀反の妖魔の正体や,美声年ネスティの秘密が今あきらかに・・・。うは〜。楽しい。え?このシリーズもうお終い?うえ〜ん!
帝国内を謀反人の妖魔を探して旅する二人。ザコの妖魔を倒したり,美食を楽しみながら・・・。かなりズレている美少女フェリアの美少女ぶりと食の描写が実に楽しい作品。
ローマ帝国時代,元神官の美青年ネスティと妖魔大王の娘フェリアは,妖魔界から逃げ出した謀反人を追って旅をしていた・・・。二人の掛け合いがやけにオモシロイ作品。こういうのって,好きだなぁ。
是馬と荒馬の兄弟は,ロマンチックなキャンプに二人で出かけることにした。ゴザを持って。しかし,それが恐怖の世界への旅とは思うよしもなかった。そう,三人の棺桶泥棒とタコ型宇宙人と,歩く死体と,吸血鬼と,23匹のネコが!悪魔がとこしえの闇よりよみがえったのだ。生きるべきか死ぬべきか。死ぬのはいやだと叫ぶがよい・・・。加納氏のユーモアSF群の中でも白眉の作品である。す・・・すげエぜ!
宇宙船失踪の謎を調べにスペース・レインジャーのタケルとクマソは出動する・・・。おっ。意外にオモシロイぞ。いい意味でのB級スペース・オペラだ。ユニークな主人公と妙な展開,行間のほのかなユーモア。この作者の人って,かのノースウェスト・スミスシリーズの翻訳者じゃないか。
読後感鮮やかな傑作だった。ラストシーンは,菊地秀行の作品群でも最高ではないだろうか。この作品は,ロジャー・ゼラスニイの「地獄のハイウェイ」の菊地秀行版であろう。それにしても本当に惜しい。米軍と例のエログロ(これがかなり足を引っぱっている)を排除してくれれば,この作品は本物の名作になったかも知れない。地獄のハイウェイに匹敵するような。
21世紀初頭,日本は妖獣が跋扈する世界となっていた。とある孤立したキャンプの少女を”用心棒”は箱根から小田原まで護衛する仕事を請け負う・・・。妙な話だが,旅行記としての趣がある。箱根の風物の今?昔?が対比されて興味深い。
警察に追われる身となった充は,ヴァイブの謎を解くため黒牛島に向かう・・・。先がまるっきり読めない。いい作品だ。雰囲気もグー。意外な良作に驚いている。
兄を捜して,謎のダンジョンワールドを旅する英国近衛騎兵連隊クライブ少佐達のパーティは,ダンジョンの第5階層へと向かった・・・。角川文庫が,ごく短期間出版した一連のSFシリーズの一つ。その中でも,有名SF作家と無名作家の共作によるシリーズ(もちろん,有名作家の名で売ろうという意図)の翻訳が何作かあった。アイザック・アシモフやロジャー・ゼラスニイなどだ。残念ながら,角川書店の意向(たぶん売れなかったのだろう)で,あらかた途中で翻訳が打ちきられてしまった。その中でも,これだけは傑作と言えたのが,このダンジョン・ワールドシリーズである。1・2巻は,かなり以前に手に入れていたのだが,この第3巻は,ようやく最近手に入れることが出来た。しかし,残りの3巻は,原書を入手しない限り,永遠に読むことは出来ないだろう。
楽しい新婚旅行どころか,マフィアの内部抗争に巻き込まれて・・・。なんかどうも,ひとり旅をしていた星子チャンの魅力が薄れてきた人妻星子チャン。やっぱり人妻になると,あの性格を続けるのは,ムリですよ。ヤマちゃん。なんか,回りの男どもがかわいそうになってきた。ここらへんで,コバルト読者も星子チャンシリーズから離れるのかなァ。それじゃ,男には気をつけよーなっ。
遅ればせながらイタリアに新婚旅行に出かけた忠太と星子チャン。やっぱり事件に巻き込まれる・・・。うはっ。大いなるワンパターン。きらいじゃないけどネ。ニューハーフの春子チャンが水晶うらないで,「絶対やっちゃダメよ」と言うと,必ずやっちゃう星子チャン。なんか,銀河鉄道999を思い出してしまった。メーテルと哲郎の関係にソックリ。男には気をつけなくてはなんばい。
かの人気ゲーム「サクラ大戦」の前日談。日本,中国,フランスで,彼女達はかくして花組に入ることになった・・・。かる〜いお手軽タッチのあかほりさとるが,このような小説を書いたとはびっくりした。第3話の出来こそ悪いけど,まずまずじゃないか。実は,ボクは,サクラ大戦ってやったことがないのだが,これって,オモシロソウな気がしてきた。
本能寺の変で,信長が生き延びていたら・・・。よくあるパターン。シュミレーションっぽさを工夫はしているが,文が妙な感じがする。
そして,三人の人生はついに交差することとなる・・・。うん。分かった。十二国記は,前作もそうだったが,子供達の成長の物語なのだ。風の万里 黎明の空では,それがより明確に現れている。成る程。ボクがこんなに主人公に感情移入が出来たのは,これだったのか。
海客となって仙のもとで下働きをする鈴,公主の地位を剥奪された祥瓊,王の地位に苦悩する陽子,三者三様の人生が始まる・・・。小野不由美は,漢字の使い方がすばらしく上手だ。宮城谷昌光を思い出した。正直,かなり近いのではないだろうか。そう思って読んでみると,確かに中国文学の手法をかなり使っている。それをファンタジーに調理しなおしているのだ。
死にかけていた陽子を助けたのは,半獣のネズミの楽俊。信じることを思い出した陽子は雁国を目指す。この世界に喚ばれた理由を知るために・・・。フー。楽しい。小野不由美という人は,なぜこんな作品を書けるのだろう。ちょっと違和感がある。そう,読者に迎合しないのだ。ポリシーがある。うわ〜止まらない。
謎の男に助けられて,妖魔から逃げ出した先は,不思議な異界だった。海客として狙われる陽子は,つらい旅を続ける。孤独と疑いの心で・・・。傑作!久々の大傑作である。太鼓判をためらわず押そう。このシリーズは,前々から興味をもっていたが,古本屋になかなかなくて,きっとみんなが手放さないのかなぁとは思っていた。ようやく,本書から次の4冊を各20円で手に入れたのはラッキーを思っていたが,とんでもない。アンラッキーだった。もっと早く新本を買って読むべきであった。体が震える...。
太陽系パトロール隊を夢見るマットは,士官学校に入学するし,士官候補生となる・・・。ハインラインものでは,読み残していた作品。おそらくこれはジュナイブルとして発表されたのではないか。1948年の作品で,また中期ハインラインのセンス・オブ・ワンダーの域には程遠いが,そこは腐ってもハインライン。レベルはやっぱり高いや。この後,ハインラインは,「夏への扉」など震えるような傑作群を発表してくれたのだった。
古いホテルを舞台として,さまざまな物語が始まる・・・。菊地秀行は大変合理的な精神の持ち主である。現在の日本の書界で何が売れるか正確に判断して小説を書いている。それは,ムフムフのエロチックバイオレンスアクションなのだ。しかし,その彼が自分の好きな物語を書いたのだと思う。大いに評価したい。
漫画家の朱雀きららが引っ越したマンションの隣りは風水師の美少年が住んでおり,なぜかそのペット(別にイヤらしくありません)となるハメに・・・。あれ〜?結構面白いよ。ウン。最後は,ヒーロー戦隊もののノリなのです。ちゃんと巨大メカ?の戦いもありますゾ。
瀬戸内海で古代の銅鐸を引き上げようとした時が,全ての始まりだった。ヴァイブに取り付かれ,悪夢が・・・。朝日ソノラマにはめずらしいバイオレンス。おどろおどろしい雰囲気が全編を支配する。うーん。キライじゃないケド,ちょっとネ。
女帝国の四姉妹の末姫は,御託宣伺いに旅に出るハメとなる・・・。長編の序章の感ありで,まだ評価しがたい。面白いが,ちょっと筋運びに安易な気がする。
昭和16年,歴史的関係から日本領土となっていたハワイに,対スペインなどで宣戦布告なしの奇襲攻撃に実績のある米国が突如襲いかかる・・・。数ある太平洋戦争の歴史IFものの一つであるが,成る程。確かに米国の過去の歴史は正義の使者というには程遠い。歴史的事実を元に,国際情勢を公正に見つめた作品である。
新婚生活を送る星子チャンは,ある日体の変調に気がついた。すっぱいものが食べた〜い・・・。チクショー!ボ・ボ・ボ・ボクの星子チャンが!宙太のやつ。前作ではナニもしていなかったのに。わお〜ん!クッソー。ホント,男には気をつけような!
戦いの末,帝国との講和となる。しかし,それも一時的なものでしかなかった・・・。ふー。続けて,シリーズを5冊も読んでしまった。シリーズと言えど,ボクはあまり続けざまに読まないタチなんだが。これにて,神狼記第一部完。このあと,まだあるのだが,実はソッチの方を既に(ずいぶん前)読み終わっていたりして。
遊牧民族を統合したアシュラウルは,しだいに帝国の領土を侵略し始める。しかし,帝国は,北のダルナディートへの侵攻を激しくしていった・・・。しかし,しっかりとした作品だなァ。まれに見る。ファンタジーなのにリアリティが高いのだ。
ついにアシュラウルは,敵地にて神皇帝として挙兵する・・・。だいぶ良くなって来た。作者は,物語世界のスケールがでかくなると,話ががぜん生き生きとしてくるみたいだ。
もちろん,刺客の手をアッサリかわしたアシュラウルは,ダィーラの陰謀の首魁に罠を仕掛けた・・・。ちょっと,ダレてきたので,★がランクダウン。というか,アシュルラウルの性格がステレオタイプになりつつあるように思えた。この後の出来が心配なのだ。
放浪の旅を続ける公子アシュラウルは,アマランでカイムジェサ帝国の刺客に狙われる・・・。「魔術師の長い影・下」が手に入らなかったので,飛ばして3冊目となった。うーん。やっぱりしっかりした小説だ。あらすじに芯が通っているから,1冊抜かしてもすんなり世界に入っていける。
クラスメートの理香の不思議な幻覚の秘密を調べようとした健は,宇宙人の戦いに巻き込まれる・・・。大御所光瀬龍の若い頃のジュナイブルSF。これは,きっと蛍雪時代か何かに連載していたものだろう。そういう味わいがある。そう思うと,ボクは中学時代の図書館をとてもなつかしく思い出すのだ。
いよいよ激しさを増すギャラクターとの戦い。しかし,ジョーは,ひとり別行動を取る・・・。この最終巻で,原作より筋は離れたが,まいった。負けました。傑作ですぞ。アニメでは,頭部にささった銃弾で死をさとったジョーが,単身ギャラクターに突入し,最後にカッツェを狙った羽手裏剣が偶然にも地球を救ったのだった。そして,ラストシーンは,南部博士が「彼らは今日も戦っています。地球の平和のために・・・」と見上げる場面だったが,この本も実にいいですぞ。
八つの徳の持ち主であるアバタールのシャロンは,ブリタニアに旅立った。アビスの中へ・・・。パソコンゲーム一方の雄のウルティマシリーズの小説化。極めて人間的なアバタールと,いかにもロールプレイングゲーム風の世界が意外や意外で面白かった。実は期待してなかっただけにビックリ。
領民から狼の末裔と恐れられる侯爵から悪魔払いを依頼された少女アンジェルは,謎の侯爵から求婚される・・・。ためらうことなき傑作。特にラスト近くのベルの物語はすばらしい。不思議な旋律が流れる。ただ,点数が辛かったのは,ナゼだろう。自分でも説明できないので,ちょっと読んでみてくださいネ。
人間界を放浪する精霊界の公子アシュラウルは,ニーヴァン王国の反乱王子の軍師となって・・・。大河小説の風格充分の作。先に書いたデルフィニア戦記に及ばないのは,主人公の造形。チョット超人(そりゃあ精霊だもの)すぎるし,筋運びの説得力にやや欠ける。これは,デルフィニア戦記との比較での話なのだが。
仇敵を追い求めるラリーは,宇宙の辺境で敵の情報を探して過酷な労働に明け暮れていた・・・。清水義範は相変わらず出来のいい小説を書く。このシリーズとしては,第2巻の本書しか手に入らなかったのだが,それでもすんなりこの世界に入っていけた。もっと彼の作品を読みたいのだ。
燃え上がる摩天楼。ベルクカッツェ率いるギャラクターは,忍者隊の秘密に迫る・・・。熱血漢のリーダー,ニヒルな副主人公,チビ,デブ,紅一点の五人組のパターンを最初に作ったガッチャマン。その後のアニメや戦隊ものに大変な影響を与えた。但し,ガッチャマンには,カレー好きはいないケド。
カーメン・カーメンを倒したJ9の後日談。木星が爆発して,メチャクチャになった太陽系を後に,新天地を求めてバーナード星に向かったキッド達は・・・。うーん。これは,原作のアニメを覚えているから,なつかしさで読んだが,独立した小説としては駄作。今となっては,ブラスター・キッドやアイザック,エンジェルお町を覚えている人はどれだけいるのだろうか。
地球制服をたくらむギャラクター!そして,実体を見せずに忍び寄る白い影!その名も科学忍者隊ガッチャマン・・・。懐かしい。フナフナフナ〜。1972年のテレビシリーズのリメイク版の小説化だが,現代風にアレンジしている。しかし,真に驚くは当時の原作の優れていたこと。科学考証された大人向けの初のアニメだったのだ。そして,目をつむると,ジョーの雄叫び,南部博士の冷徹な声が,そしてジュンのミニスカ(のチラリ)が・・・脳裏に浮かぶのだ。
惑星間警察のブルーは,犯罪者を追って犯罪者収容施設に潜入することになったが・・・。蒼白の城XXXの続編なのだが,深まる謎解きや緊迫感あふれる収容所のシーン,恋人ユミとの悲愛など,田中啓文の最高作であるのは間違いない。しかし,ラストシーンが惜しい。ブルーがユミに○○○まではいいとして,その後のユミの○とシルバーの○○は,余計である。これがなければ,★が6個だ。
ルイ15世のコルベット艦のギャラン艦長は,聖母像奪回のためアメリカに赴くが,イギリスのフリゲート艦も同じ目的で出航していた・・・。海洋ものとしては,非常にめずらしく,フランス側が主人公である。ギャラン艦長とイギリス人艦長との戦いと不思議な友情が感動的なラストである。海洋冒険ものは,十数年前に日本でもかなり流行ったのだが,現在は本屋でも殆どその姿を見ない。そもそもは,海洋国日本に,海洋小説がないことを嘆いた高橋泰邦氏がホーンブロワーシリーズを日本に紹介したのがきっかけで,当時,日本でも多くの傑作が翻訳されることになったのである。高橋氏の努力は,その弟子たちが,高橋氏の一字をもらって,「高」をペンネームの一部にして,多くの海洋小説の翻訳をしていることからも,賞賛するべきものである。しかし・・・悲しいかな。その努力が報われたのも,ほんの数年であった。現在刊行が続いているのは,ボライソーシリーズくらいであり,せっかく翻訳された本も絶版や品切れとなってしまった...。
ギョーザ大王の息子小龍包は,二人の妹と共に料理修行の旅に出かけたが,そこで出会ったのがゴクドーとパンダ仙人だったが,二人は恐ろしいタクラミを・・・。結構ボクはこのシリーズが好きなのだ。悪人ゴクドーのキャラは,とてもイキイキとして,読むのがトテモ楽しいのだ。
中国神武伝奇の登場人物をそれぞれ主人公にした短編集。四神の一,青竜の探偵もの「昇仙桃秘話」が気に入った。この設定でシリーズを再開すればいいのになァ。
いよいよ,ナイトメアとの決戦が近づいてくる。傷ついた彼の宇宙船「ソードブレイカー」は・・・。ううっ。残念。あと1巻で終わりなのだが,古本屋にはここまでしかなかった。これもしばらく探すことになりそうだ。
脳天気なケインは,しだいに遺失宇宙船の秘密に巻き込まれていく・・・。だんだん作品に勢いが増してきた。神坂一の作品って,スレイヤーズもそうだったけど,シリーズが進むにつれて幅が広がってくるのだ。星4つ近し!
今度の仕事は,貨物船の護衛のハズだったが,やっぱり海賊が・・・。こういう本って,読むのに1時間もかからないから。しかし,人間性豊かな異星の謎の宇宙船(この作品ではロリロリの美少女形態をとるのだ)と,ハネっかえりの女の子のクルーと,一見クールだが,実は二人にいじめられる主人公のパターンって多いね。
”トラブルコンダクター”ケインが請け負った仕事は,単純な家出人捜しのハズだった。しかし悪の組織ナイトメアがからんでこようとは・・・。良くもなし。悪くもナシ。この手のたぐいはいっぱいある。パターンパターン。しかし,文章の勢いで読ませる分,チョット頭ひとつ抜け出している感じか。
蜀の衰退の結節点は,関羽の死。しかし,その歴史がなかったら・・・。三国志ものは,NHKの人形劇以来,ずいぶんと読んだ。古典ともなった吉川英治を始め,超,反,その他数種類にも及ぶ。もう何だって聞いてください状態なのだ。たいして期待しないで読み始めたら・・・本格派だ。正直,他の三国志シュミレーション本などは比べようもない。
クッソー!星子チャンは宙太メとアツアツ新婚生活だ。しかし,凶悪犯が星子チャンを狙う・・・。うーん。やっぱり初期のひとり旅シリーズに比べてだいぶパワーが落ちている。だって,38巻目だもの。しょうがないじゃん。ああっ!それにしても新婚生活っていいよネ。じゃ,男には気をつけよーなっ!
レベル13の戦士からレベル1の侍に転職したスカルダ達のパーティは,ワードナーの迷宮へ旅立つ・・・。パソコンゲームの雄「ウィザードリィ」の小説化なのだが,正直,これ程傑作だとは思いもよらなかった。昔むかしの大昔,夢中で迷宮を冒険していた頃を思い出してしまいました。
行方不明になったクラスメートの静ちゃんから次々と手紙が来る。静ちゃんを探そうとする絵里は・・・。単調だけど,ホノボノとして,結末に無理がある。★2つか3つかで悩んだのだが,読後の印象の弱さに,ザブトン2枚とした。
黄帝若き時代の凌は,ついに百鬼王と雌雄を決するための軍を起こすが,悲しい出来事が待っていた・・・。中国神話時代を題材に取った作品。弾けるような快作である。良くも悪しくも日本的ファンタジーとして完成されている。
現代まで生き続けることを運命づけられた彼は,ようやく3000年を生きて,縄文時代まで帰ってきた・・・。いや〜,やられました。この不思議な終章には!みけねこは,この手のものにひどく弱いのです。もっともっと続きを書いて欲しかったのだが,おそらくこの2巻で終わりなのだろう。ウーム。残念。
高校生は,気がつくと原始世界の村で生活し,カムイを探して旅に出る・・・。暗く彩られた旋律に,ほのかなエロティック(ジュニアSFですぞ)がなぜか漂う。どうも,ボクは知られざる傑作というものに点が甘くなってしまう。村のシーン以降,普通の冒険小説になってきたので,チョット残念で次巻以降が心配なのだ。
エンタープライズ号は,ブラックボックス星雲に科学者グループの救援に向かうが・・・。昔,ボクは,宇宙パトロールと題されたアメリカ産のSFテレビシリーズが大好きだった。中学生になって,ハヤカワ文庫のこのシリーズ(まだ3冊しか出てなかった)を夢中になって読んだものだ。この本は,29冊目である。「宇宙パトロール」は,「スタートレック」となり,新テレビシリーズや,映画で大人気となった。でも,最初のテレビシリーズが一番オモシロかったなぁ。「艦長日誌 恒星歴1999・116 コロナを読んだが,昔の感動はよみがえっては来なかった。スポックからブリッジに来て欲しいと連絡が入った。緊急事態が発生したのではなければいいのだが。」
そして,星子チャンは,タレ目の宙太と結婚してしまったのだ。うぉーん!まだ高校生なのに。実はボクの文体って,作者のヤマチャンの影響を受けているんだよね。エッ?オマエは,そんな大した文体じゃないだろうって?ナニーッ!ゆるせ〜ん。オモテに出ろー。セーラ服を脱げーっ・・・ナンテネ。では,おきまりの合い言葉でいきましょう。「お互い,男には気をつけようなーっ」
迷探偵大江山金太郎と助手は,怪盗五百面相を追って,世界一周のハメに・・・。加納一郎は,知られざるユーモア作家として大好きなのだが,この作品はスラップスティックにしても,チョットやりすぎ。度が過ぎると何事もよろしくないのだ。
辺境の島で育った聡明な少女は,政略結婚の道具として,青年貴族の処に嫁ぐこととなったが,隣国との関係は危機をはらんでいた・・・。ファンタジーというより,宮廷恋愛小説風で,筋立てに無理がなく,実にしっかりしている作品。静かなテンポの中に作者の力量がなみなみならぬものであることを感じさせる。
放浪の青年国王と謎の美少女リィの出会いから始まる壮大な物語・・・。全18巻なのだが,古本屋6軒を巡っても1巻と8巻しか見つからなかった。探すのに,またまた長期戦の予感。しっかりとした背景と,じっくり書き込まれた人物たち。こいつは,久々の金鉱脈ですぞ。
記憶を失い,見知らぬ世界の海原を漂流していた青年は,王女の乗るガレー船に助けられる・・・。1942年の作なので,どうしても古さは否めないのだが,前半の船内のシーンの不思議な旋律がなんとも魅力的な作品。クラシックファンタジーの傑作であろう。
私立探偵エド・ハンターに護衛の依頼に来た娘は火星人に殺されると言った。そして,その娘も,娘の妹もエドは守ることが出来なかった・・・。登場人物一人ひとりの生き様を高らかに歌い上げた傑作。思いがけず,味わい深い名作であった。フレドリック・ブラウンは,SFにおいて高く評価していたが,こんなすばらしいハードボイルドを書いていたとは。
ついに,ボクは星子ちゃんシリーズに戻ってしまった。シリーズ36巻目!の本書の(上)(下)で,恋多き女子高生の星子チャンとニクたらしい宙太は結婚してしまうものだから,カナしくて,しばらくオシイレで寝かせておいたのだ。コバルト文庫という名で,世の書評家は,ピピーンと来たと思うが,女子中・高生をメインターゲットとした本である。そりゃあ,ご都合主義の筋立てはハナハダしく,芥川賞にもノーベル文学賞にも程遠いシロモノだが,このシリーズは,分析しがたい味わいが確かにあるのだ。なんというか,違いの分かる男?にしかわからない味わいが。さて,例によって,合い言葉でしめますか!「お互い,男には気をつけような!」
帝国の軍勢に襲われた谷から,かろうじてバラバラに逃げ延びた5人の少年少女達は,5年後,再会することとなる。しかし,妖手の守護者の力を継いだ彼らを帝国は・・・。ジャパニーズファンタジーとしては,珍しいほどかなりしっかりとした構成の良作である。しかし,かなり陰惨なので,正直読むのがつらい。
奥信濃の山村の村おこしのための博物館建設計画に一枚噛んだおばあさん探偵。しかし,やはり殺人事件が・・・。日本版ミス・マープルのユーカリおばさんが探偵だが,ミス・マープル物には遙かに及ばない。そりゃあ,クリスティーと比べては気の毒というものだ。しかし,日本のトラベルミステリー物では,辻真先は高く評価する。少なくとも,赤川次郎よりはいいと思うのだが。
長野の山奥の知人宅に泊まりに出かけた少年はUFOを目撃する。そして,村人達がエイリアンに操られていることに気づいた少年は,仲間達と・・・。作者の初期作品であるため,展開にやや荒さがあるが,緑の風景描写が味わい深い佳品となっている。清水義範は,ジュニアSFが主であったため,あまり有名ではないが,隠れたる名作家だと高く評価したい。菊地秀行クラスでは,売れ行きは別として,作家としての質は比べものになるまい。実にもったいないことである。
ボロの宇宙船で運送会社を経営している中年社長と美人パイロットは,機雷に封鎖された惑星への輸送を請け負ったが,巨大企業の企みを知る・・・。筋は,まあまあしっかりしているが,SF的アイデア,人間ドラマ,ユーモアなど,全ての面において買うべきものはない。
密室殺人にこだわりぬいたカーの1941年の作。論敵である二人の男女の歴史学者の論争と恋愛を軸として,複雑に織りなす三つの殺人事件をギデオン・フェル博士が解きほぐしていく。カーらしいユーモアが全編にあふれている。カーの自選代表作だが,カーの作品群の中では標準程度の作と思われる。