2002年6月15日(土)〜6月16日(日)の冒険

  6月15日(土)のこと...

 サクランボ隊 再結成す!

 早朝。5時15分。小雨模様。ボクタチは・・・そう。ちょうど一年前のサクランボ隊の冒険とまったく同じように・・・ボクタチは出発したのだった。一年前と違うのは,曇空だったのが今年は雨空であったこと。そして,赤い古い車が,二週間前に納車になったばかりの新車の白いパルパル号になったことかな。

雨の常磐自動車道

ナビって,すっごく便利〜

  空は,やっぱり雨...予報どおりだ。梅雨だから仕方ないんだけど。雨滴がフロントガラスをすべるように流れる。約10分程で,常磐自動車道へ。雨だから,注意しなくちゃ。でも,パルパル号は静かで快適だ。前の車は,高速では,とんでもない音を出していたものだが。ふと気がつくと,知らず知らずのうちに,スピードが出ちゃっているので,気をつけるとしよう。
 高速に乗ると,ナビが自動的に,ハイウェイモードに変わった。次のICやSAの設備,料金(目的地の寒河江ICまで6,500円ですって)まで表示される。これ,生まれて初めて車につけたナビなんだ。なんだか,夢中になっちゃう。今回の旅行 は,ナビがあるからと思って,いつもするみたいに,あまり地図を調べてこなかった。一応,地図は車の中に持ち込んだけど,’93年発行の古地図。トテモトテモ,あんまりアテにはならないのだ...

 去年,初めて山形にサクランボ狩りに行ったのは,忘れもしない6月30日だったっけ。そして,絶対来年もイクゾと誓ったんだ。そして,今年も行くことが出来る!去年は,時期的にやや遅かったが,今年は,6月の中旬と,まさに,サクランボのトップシーズンである。春(サクラの開花)が早かったから,サクランボの時期も,それに応じて早いに違いないと,ボクが勝手に予測したってワケ。

 彼女から,「今年も行きましょうよ」とせかされて,ようやく宿を押さえたのが,5月末だった。それから,ずっと楽しみにしてたんだけど・・・やっと,待ちに待った,今日がやってきた んだ。みけねこサクランボ隊,再結成の日が! 

磐越自動車道。霧だ

 6時20分。いわきJCTから,磐越自動車道へ。片側一車線の対面通行なのだが,去年と同じように,相変わらず,四車線化の工事をしてるみたい。磐越って,そんなに通る車も多くない んですけど・・・確かに,超マイペース・トラックとかの後ろは,すぐに数珠繋ぎ状態になってしまうんですけど,ところどころ,追い越し車線があるので,そこで,ビュンビュン追い越す仕組み なのだ。──あっ!霧だ。霧が出てきた。
 7時10分。郡山JCTから東北自動車道へ。車も大分増えてきた。ボクタチは,途中途中のSAでトイレ休憩を取り,そこで,運転を交代する。でも,休憩時間は5分くらい で,ストイックに運転し続けた。ナビの最初の到着予定時刻は,9時半だったが,ずいぶんがんばったので,一分一分と,少しづつ,早くなってきた。この調子で ,時間を稼ぐのじゃ。
 8時。村田JCTから山形自動車道へ。長い坂道も多いが,パルパル号は,さすがは2Lカーである。パワーが違うのだ。雨がやんで,シメシメと思えば,霧が濃くなり,霧が濃くなったと思えば,雨が降り出す。わけがわからない天気である。

独特の看板がチェリーランドの証

ギョエー!受付前は混んどる

 そ・し・て・・・8時40分。バルパル号は,寒河江ICをすべるようにおりた。去年より15分も早い。実は,ボクはイケナイイケナイとは思いつつも,東北自動車道で,ふっとばしてきちゃったのである。 しかも,ムッフッフ。雨もやんだようだ。まるで,ボクタチの(サクランボを食べる)前途を神が祝福しているよう・・・。国道112号線を鶴岡方面へ約10分。去年と同じ,道の駅寒河江のチェリーランドへ向かう。やがて,あの特徴的なチェリーランドの看板が見えてきた。去年はガラガラだった し,時間もこんなに早いんだし(サクランボ狩りの受付は9時から),余裕なのじゃ。サクランボ園は,ボクタチの貸切状態だね・・・と,思っていたら,駐車場は,すでもほぼ満杯状態。ヒェー!交通整理のオジサンまで,出張ってるじゃん。

 急いで,駐車場の空きスペースに車をつっこみ,サクランボ狩り受付テント前に,ズラリと並んでいる 列の最後に並ぶ。まだ,9時には5分もあるってのに,この混みよう。去年とは,時期的に半月の違いだが,6月中旬って,やっぱり,トップシーズンなんですね。こりゃ,早めにきて正解だった。たぶん,もうちょっと時間が遅かったら,とんでもなく混んでいただろう と思われた。

 

 サクランボ園のサクランボ隊!

土手の上に車の列

土手の下には・・・

 サクランボ狩り。ひとり千二百円也。お金と引替に,チケットと地図をもらう。
 ボクタチのサクランボ園は,”最上川観光さくらんぼ園”ってトコらしい。案内のオネエサンによると,「ええと。道を左に行って,ふたつ目の信号のパチンコ屋のところを左に曲がってまっすぐ行って,幟がありますから,土手の上を1.5キロほど行ってください。駐車場はないので,土手の上に置くことになります」
 フムフム?少し休憩したいところだったが,この混みようじゃ,のんびりなんかしてられません。さっそく,ボクタチは,車に飛び乗った。パチンコ屋はすぐに見つかったが,土手の幟 は・・・問題は,幟が道沿いに多すぎるってコトだ。やがて,橋の手前のところに,狭い土手の上の道を発見して,右折。しかし,すごい道だなァ。この土手・・・ 狭いのは仕方ないけど,アナボコだらけなんだもん。

 やがて,土手の上の車の列を発見す。こりゃ,かなりのものだて・・・。
 ボクタチは,列の一番後ろに車をとめると,トコトコ歩き出した。土手の右下に,大きなサクバンボ畑があるぞ。あそこなのじゃ。じゅるる〜。 ボクのサクランボにうるさい舌が,ピクピク動いた。

 土手を降りて,ボクタチの足取りは,ますます速くなった。カップルを追い越し,家族連れを追い越す。急いで急いで行かないと,サクランボが,ガツガツした客どもに食い尽くされちゃうかも知れませんものネ。

サクランボ畑の中へ

ワサワサ生えておるのう

幸せの黄色いサクランボめっけ〜

この大きさを見よ!スイカみたい

 サクランボ園の入口で,チケットを渡して,オジサンの説明を聞く。フンフン?「コッチで思う存分喰えって?向こうは,お楽しみ高台コースだって?」そんなことより,サクランボ。ボクタチは,オジサンの話もそこそこに,ノコノコとサクランボ畑の中に入って行った...
 あるあるあるっ!あるある大辞典のようだ。右を見ても左を見ても真っ赤なサクランボ。

 まずは,軽くひとつぶ。パクリ。パクリ。パクリ。パクパクパクパクパク。
 ンマーイ!なんて,甘くて歯ごたえがあって,ジューシーでフルーティなんだろう。嗚呼幸せ。やっぱり,サクランボは採りたてに限ります。
 サクランボの木によって,いろんな味がある・・・はずなんだけど,どれもこれも,ウマカッタ。 アメリカンチェリーなんて毛唐のニセサクランボモドキは,国産のこのサクランボに比べたら,梅干も同様である。
 サクランボ畑の中には,案内のオネエサンが何人もいた。きっと,いやしい観光客が,こっそりとサクランボを袋に詰めて盗み出すのを警戒してるに違いない。ボクが ,サクランボの写真をパシャパシャ撮っていると,「写真を撮りますか〜」と親切に声をかけてくれた。オネエサンによると,ここにあるのは,(やっぱり)佐藤錦。しばらく前までは,紅さやかが生 っていたそうだ。
 やっ!黄色いサクランボを発見す。これこそは,幸せの黄色いサクランボ。絶妙な味わいに違いあるまい。と思って食べてみたら,超すっぱかった。まだ,赤くなってないサクランボだったのね。

こういうのも面白いね

 やがて,さすがに喰いあきたボクタチ。いくら美味しくたって,悲しいかな。食べるにはどうしたって,胃袋の大きさという限界があるもの。
 そこで,ボクタチは入口に戻って脚立を借りると,高台コースに出かけることにする。高台コースっていっても,サクランボ狩りの客に食い尽くされたエリアのことなんだ。軍隊アリのようなあの連中は,低いところのサクランボどころか,サクランボの木のネッコまで囓りとっていったのだが,高いところのサクランボは,手が届かない。そこで,この脚立が役立つってワケだ。おわかりですかな・・・運動を兼ねて,脚立を抱えて,さっそく木に登る。ウーン。やっぱり,お腹がくちくて,立ちくらみがしそうじゃ。

 そして,ついに,最後の一粒を食べて,満足しきったボクタチは,お土産のサクランボを買おうと入口へ戻る。宅急便で実家に送ろうって思ったんだけど,あんまりいいのがなかった。小粒の安いのばっかり。やっぱり,箱詰めで,綺麗な大粒が並んでいるやつじゃないと, もらった方は,有り難みがありませんものね。
 お土産のサクランボは,別なところで探すことにして,ボクタチは,サクランボ園を後にする。

 ナビを,銀山温泉に設定する。パルパル号はブルブル震えた。10時10分発。あの,おしんの銀山温泉を目指して!

 

 だいこん飯を食べに (銀山温泉へ)!

ヒー。休憩じゃー

 「当分の間道なりです」「はい。ご主人さま」(これはみけねこ)親切なナビが言うとおりに運転する。ボクって,とても素直だから,ナビの言うがままなのだ。やがて,国道13号線へ。
 一路北上・・・と思ったら,村山市に入ったあたりで,ナビ様が,「右へお曲がりなさい」と言う。そこでも,ボクは「ハイハイ」と素直に曲がった。「そのまま,どんどん進むのよ 〜」とナビ様。ボクは,コクコクうなづいて,どんどん進んだ。
 県道29号線。背あぶり峠。冬季閉鎖の道・・・フナフナ〜。ミミズみたいに細くて,クネクネ曲がって,スッゴク怖い道なのじゃ〜。対向車が来たら・・・いや,向こうからアリンコがやって来たって,とても交差出来ません。途中,広くなっているところで,車をとめて,緊張のあまり固くなっちゃった足を伸ばす。フー。やっぱり,国道13号をずっと北上して,尾花沢市から東に行くべきだった。だって,ナビ様が,狭い道を行け 行けと言うんですもの。

駐車場。30台くらい置ける

第二駐車場(別名・路駐)

 その昔,「出羽の銀山裸でいても金や宝は堀次第」と唄われたのがこの延沢銀山だった。康正2年(1456年),儀賀市朗左ェ門銀鉱石を発見したのが,銀山の始まりで ある。やがて,幕府の御公儀山となり,最盛期には,坑夫など22万人が銀採掘に携わったという。一時は,日本三大鉱山のひとつに数えられた銀山であったが,次第に銀の採掘量が減り,ついには,寛文11年(1671年),閉山同様となってしまったのであ った。江戸時代初期には,佐渡相川や羽後院内とならぶ産出量を誇りながらも,彗星のように現れて消えていったこの銀山は,日本でも第一級の大銀山であった...銀は採れなくなってしまったが,それに先立つ1622年に坑夫が発見した温泉を利用した湯治場に,銀山は華麗に転身し,名湯として 名を馳せた──そして,現在に至っている。

 やがて,人家がちらほら見えてきた。そして,市道(道の真ん中に雪を溶かすシャワーの穴ボコがあいている)をしばらく走ると,銀山温泉の旅館の駐車場が見えてきた。ボクの調査によると,銀山温泉は,駐車場が非常に少ない・・・というか,たったの一カ所 しかないのだ。その一カ所しかない砂利の駐車場にパルパル号をを停め た。良かった。空いていて。すぐいっぱいになっちゃうらしいのだが,雨っぽい天気が幸いしたのだろうか。

 寒河江から約1時間。今は,11時15分くらいだ。車を降りると,いつの間にか,小雨が降っていた──ボクタチは,車から傘を取り出して,銀山温泉街に向かってノコノコ坂道を下りだした。 やがて,道の両側に,駐車している車の列。銀山温泉街って,車両乗り入れ禁止なので,さっきの駐車場に停めるか,空いていなかったら,こんな風に道に駐車するほかないんですって。

 ──突然のように,雨が強くなった。 

 長い坂道をゆっくりと歩く。狭い道の両側には,コンクリートの旅館,旅館の駐車場──さして珍しい光景ではない。しかし・・・
 突然,道は左に折れ,銀山川の両側に,忽然と温泉街が現れた。

車両進入禁止と書いてある

足湯

公衆浴場

おしんこけしですって

 これが,銀山温泉──木造の三階建てや四階建ての旅館が並ぶ。大正から昭和にかけて作られた古い温泉街の情緒。旅館のすぐ後ろは崖になっているので,旅館は川にへばりつくように建っている。 タイムスリップしたような,なんて,不思議な光景なんだろう。
 まず,足湯がある。これは新しい。ちょっと手を入れてみると,暖かいや。かすかな硫黄臭を感じる。そして,小さな橋を渡って向こう側へ。銀山川を見下ろすと,大きな魚が泳いでいるようだ。なんていう魚だろうか?
 温泉街の中ほど,川にせりだすように,古びた公衆浴場がある。別名”大湯”とも言い,銀山温泉には,三つの公衆浴場があるのだが,観光客に開放されているのは,ここだけである。「摂津有馬の温泉は,金の楯より湧き出づるゆえ,日本一の名湯であり,ここの銀山は銀の楯より湧き出づるゆえ,日本第二の名湯なり」と呼ばれた。

 しばらく歩くと,おしんこけしの店。店の中には,小林綾子チャンじゃなくて,田中祐子の写真が飾っておる。綾子チャンの方が絶対いいですよね〜?じゅるる〜。そういえば,NHK朝の連続テレビ小説「おしん」は,昭和58年〜59年に放映されていたんでしたっけ。もう古い話・・・綾子チャンは,とっくに建築デザイナーと結婚しちゃったし。
 「おしん」は,この銀山温泉をロケ地に撮影された。世界55カ国に提供され,日本の評判を良くしてくれたんだ。あの,傲慢なエコノミックニッポンも,こんなに苦労していた 時代があったんだなって。

滝見館

わーい。上品〜

 どこか,ダイコンメシでも喰わせてくれるところがないかと,キョロキョロしていたボクタチは,おしんこけしの店の先に,良さそうなトコをメッケた。それは,滝見館という旅館。 狭い滝見橋の向こうだ。「尾花沢10割蕎麦。限定50食」と書いてあった。
 「高そうだね〜」と顔を見合わせたボクタチ。でも,思い切って入ってみることにする。”限定”という言葉に弱すぎるボクタチ・・・。
 狭い店内?は,オバサン四人衆と相席だ。ボクは,ざる蕎麦を。彼女は,季節限定蕎麦を注文した。想像していたよりは安くて,千円。

 これは,美味しかった。蕎麦もさることながら,付け合わせの山草。香りを楽しむ水蕎麦や,蕎麦のお菓子など,とっても上品。すっかり,満足したボクタチは,外に出る。

 雨は,もうあがっていた。

 

 銀山温泉散歩道を行くサクランボ隊!
 

白銀の滝

ここから登っていくのだ

 12時ジャスト。
 只今,滝見館前の滝見橋を渡ったところなり。銀山温泉街の先のここは,白銀公園というらしい。案内板があるこの目の前にトイレ。右手を見ると,すぐに白銀の滝。よし。行ってみようか。こんなところに!と思うような美しい光景である。決して大きい滝じゃないんだけど...標識によると,さらに上に登ると,”こうもり穴”があるらしいのだが・・・彼女が,イヤイヤしてる(愛くるしいコウモリが嫌いだなんて不思議ですよね)ので,こうもり穴はあきらめて,また,案内板のところに戻る。
 次は,こっちの階段を登ってみよう・・・なかなか風情ある感じだ。すぐに,赤い”せことい橋”が現れ,銀山川を向こう岸に渡る。ひっそりとした緑に,やがて水の音と共に見えてくるのは,籟音の滝。ここ銀山川の上流は,本当に狭いのだが,渓谷美がすばらしい。銀山温泉街もそうだったが,なんだか,ここも懐かしい...

 古い橋が現れる。河鹿橋。また,銀山川を向こう岸へ。標識があって,「夏しらずを経て銀山坑へ」とある。「夏しらずってなにかしら?」彼女は首を傾げた。「たぶん,あそこに咲いている白い花のことだよ。ホラ。珍しい花だろう?」と,知ったかぶりのボク。
 突然,彼女が声をあげた。「冷た〜い!」よく見ると,足下の洞窟から冷気が来るのだ。これ,尋常一様の冷たさじゃありません。大型冷凍庫を開けた時のよう。

 「これが,夏しらずだ!」

左の渓流沿いを歩く

河鹿橋。昭和10年と書いてあった これが,夏しらずだよ 本物は...

 夏しらずで,すっかり涼しくなっちゃったボクタチだったが,すぐにまた暑くなる。アッチッチ。蒸し暑いのじゃ。また,夏しらずに戻りたいなァ・・・
 やがて,石の階段を登る。そこで老夫婦とすれ違った。散策道に入ってから,初めて人と出会った わけだね。そして,目の前に広がったのは,小さな公園。なんだか,ほっとする。ここにも,散策道入口にあったのと同じ案内図があった。

階段を登るとそこは,小さな公園

銀坑洞入口(南口)

中は幻想的な光景が

銀坑洞出口(北口)

 左手の道を進むと,池があって,鯉が泳いでいる。コイ達は,だいぶ飢えているようで,バシャバシャとすごい勢いで寄ってきた。すまぬ・・・餌をもっていないのだ。
 銀抗洞入口から入ると,すぐに急な階段だ。中は暗かったが,照明がついていて,幻想的な光景である。いぶったようなニオイがする。ここの採掘法は,岩盤をまず火で焼いて加熱し,水で急冷して鉱石を剥ぎ取るという”焼き堀り”という方法であり,熱膨張率の差で鉱石を分離させる手法だったらしい。そのため,岩の表面に銀の鉱石の残片は認められず,薪木などの 煤が付着しているのが見られるとのことである。

 この銀抗洞は,ほんの入口部分しか公開されておらす,そのまま進んでいくと,また鉄の階段があり,登り切ったところが出口。ここが,銀抗洞北口だ。クソー。もっと中を見たかったなぁ。坑内は,例の夏しらずほどじゃなかったが,とても涼し くてカイテキだった。

堅刈山の頂上には

 外に出て,道なりに歩いていたら,また登りの階段だ。どうやったら帰れるのだろう?歩いている人も(さっきの老夫婦以外には)出会わないし,またまた不安になっちゃう。 ボクって,寂しがり屋なのだ。いざとなったら,銀坑洞を逆に戻ればいいんだけど...でも,せっかくだ。進んでみよう!

 フウフウ。ようやくの思いで頂上へ。ここがたぶん,堅刈山。そこには,わらじを履いた人の像があった。足下には,石がいっぱい積んである。ボクは,きっとこの人は,農民一揆の指導者かなにかだろうと思ったのだが,ナニナニ?・・・儀賀市朗左ェ門。そうか。この延沢銀山を発見した人なんだ。
 そこから,道は下り始め,遙か下に”河鹿橋”が見える地点までへ。「早く夏しらずで涼みたいね」と二人で話していたのだが,残念。この道からは行けないみたいだ。ここは,崖の上の道 ...

巨大な鳥居をくぐると

のどかな風景が広がる

奥の杉の木立の中には

 標識によると,このまま崖沿いに歩くと,”山の神神社”に行けるみたい。実は,ここ。ボクが是非行きたいと思っていた,女性に人気のおしゃれスポットなのだ。
 ボクタチは,せっせと歩き出した。ところどころ,クルミの殻が落ちている。「きっと,クルミ好きの修験者が食べながら歩いた跡だよ」とボクは言ったが,きっと,ここいらは,クルミの木が多いに違いない のだ。
 やがて,現れ出でたる巨大な鳥居。ここじゃ!鳥居をくぐると,びっくりするようなのどかな道。黄色い小さな花が咲いている。そう。ケモノ道のような道の先の,木立の中に神社はあった。

 鉱山は,山深く坑道を堀るため,落盤や地下水など,危険は常に伴っていた。そのため,災害から身を守り,金銀が多く採れるようにと,山の神を祭る。この山の神神社には,鉱山の守護神「金山彦命」(かねやまびこのみこと)と,生産安産の神「木花開邪姫命」(このはなさくやびめのみこと)が祭られている。前者は,鉱山の衰退とともに廃れたが...

神社の裏で,いいのメッケ

 ボクタチは,木の段を恐る恐るのぼって,お賽銭を入れる。中は暗くてよく見えなかった。そして,神社の裏に回ると・・・

 一方,安産の守り神は,男性の一物をかたどる奉納で有名となり,現在でも広く信仰者を集めている。また,山の神神社の例祭は,奇祭のひとつとして有名である。

 あとで分かったことだが,神社の中には,アレがドサタリあるらしい。どうせなら,もっとよく見てくれば良かったなァ。
 そして,ボクタチは,道を戻り,長い階段を真っ直ぐに下っていくと,銀山温泉の裏手から温泉街に戻ることが出来た。

 この散歩道は,約50分ほどの行程。そんなに長くない。でも,不思議で,わくわくする道。
 さて──そろそろ,行こうか。ボクタチは,そのまま銀山温泉街を後にする。駐車場には,パルパル号が待っていた。

 14時。今度は,あの山道を通らないよう,ナビを尾花沢市街へ設定す。ナビが言った。「──しばらく,道なりです」

 

  サクランボ隊。蔵王へ!

 ボクの緻密な計画によると,尾花沢市から国道13号を南下し,日本一のサクランボの産地・東根のフルーツラインで,ただみたいな値段で,サクランボのお土産をドサタリ買おうっ て思っていたのだが,ボーと運転していたら,いつの間にか,東根を通り過ぎちゃって天童市へ。
 結局,国道沿いの(安そうな)サクランボ園を探すことにしたのだが,どれもこれもクソ高そうなサクランボ園ばっかり。あまりの高さに,お客どころか,ハエも寄りつかないぞと思いつつ探していると,客であふれかえっているサクランボの問屋 さんを発見!こういう店は,安いに決まってるのさ!
 サクランボは・・・あるあるある。しかし,やっぱり,いいサクランボは高いのう。実家には,思い切って,高級サクランボを宅急便で送ることにした。彼女は,職場(&ご近所 )用のバラマキ餌の安いパックを,1パック600円のところ,10パックで4,000円にまで負けさせた。 見事じゃ。ボクは,職場にサクランボを買っていこうなんて気は,サラサラ起きなかった。サクランボのタネで充分だろう・・・

 疲れちゃったボクタチは,そのまま,今夜の宿となる蔵王へ向かう。そこで,マンタンで出発したはずのパルパル号もガス欠が近づいていた。しかし,山形県は (サクランボは安いけど)ガソリン高いですね〜。我が家近辺と比べて,5円は高い。仕方なく入ったスタンドだったが,なんと今日はお客様感謝デー。リッター100円は 高かったが,ティッシュ一箱もらっちゃた。シメシメ。
 ナビの指示によると,「西蔵王高原ラインは有料だから,お安い回り道の県道を行きましょう」。ウンウン。気が利いておるぞよ。

パルパル号をとめて

蔵王国際ホテル

ボクタチの部屋じゃ

ウェルカム果物

 16時半。予定より早く蔵王へ到着す。
 蔵王は想像していたより小さな街だった。 前々から,「蔵王ですべって来たんだぜ。ツルツル〜とな。ベイベー。蔵王はワンダフルだぜ」とか,聞いていたので,さぞ,すごいトコなんだろうなァとイメージしていた んだけど。
 ボクタチの”蔵王国際ホテル”は,蔵王中央ロープウェイ駅のすぐそばの,狭い坂を登りきったところにあった。パルパル号をフロント脇に停める。ご苦労さま。
 チェックインすると,「研修生」の名札をつけたオネエサンが,ボクタチを一生懸命部屋まで案内してくれた。ボクタチの部屋は,三階。部屋自体は,この蔵王国際ホテルの最安値の ツイン部屋。窓から見下ろすと,川みたいなのが流れていて,なんと,コイがクネクネ泳いでおった。いい感じ!
 部屋で,ゴソゴソ服を脱いだりしていると,仲居さんが,果物を持ってきたくれた。グレープフルーツとブドウとマスクメロン。「サクランボ隊さま。いらっしゃいませ」の黄色い カードもついているじゃないか。

 これ,ウェルカム果物?ニクイねぇ。このこの〜
 

 17時。時間も早いし,蔵王の街を散策することにすることにした。街まで降りていくのに,車でラクチンに行くべきか,歩いて苦労すべきか...

地味な蔵王の街

 ボクタチは,トコトコとフロントへ。フロントに案内図があるだろうと思ったのだが,まるでナシ。そこで,研修生のオネエサンに聞いてみることにした。「下のロープウェイ駅まで,歩いたらどのくらいですか?」「○×△5×○6×△○」・・・レレレ?ボクの腐ったノウミソはフル回転をした。すごい方言 なんだろう。たぶん,ボクの頭脳翻訳機によると,「お客様。下までは歩いて5〜6分ほどですわ」と言ったらしい。ちょっと,ほほえましい感じだ。

稲花もち

 ボクタチは,キツイ坂を歩いて降りだした。空を見上げると,ドンヨリいやな空模様である。下の道からすぐ右手がロープウェイ駅だ。ホントに5分くらい。
 それにしても,地味な街ですなァ。中央ロープウェイ駅の向こうの”ZAOセンタープラザ”で,お土産探し。そこで見つけたのが,”稲花もち”。これは,笹の葉の上に3つの小さな餡入りもちが乗っかっている んだ。さっそく二つ(120円×2)買って,食べてみる。コリャウマーイ。でも,本日中にお食べくださいとあるので,お土産には向かないぞ。
 さらに先まで歩いてみたが,あんまり見るべきものはなさそう・・・それどころか,やっぱり雨がパラパラ降りだした。こりゃ,やみませんな。傘,持ってくればよかった。
 夜のオヤツに,ポテトチップとサクランボワインの小瓶(&ジュース)を買って,バックにコッソリ隠す。ホテルの中で買うと高いですからなァ。

 蔵王の街散策もほどほどに,またホテルに帰ったのであった。

 

  混浴露天と蔵王の夜!

 夕御飯まで間もあることだし,彼女も行くマンマンだったので,お風呂に入りにいくことにする。
 この蔵王国際ホテルは,”山の恵み湯”と”リフレッシュバーデン”と二カ所のお風呂があり,特に「山の恵み湯」は,なんと!蔵王唯一の混浴露天なのである(バンザーイ)。しかし,混浴風呂は事実上男風呂と化しており,女性が入ってくるなんて,とうてい期待出来ないという情報は前もって入手しておいた。入ってくるにしても,イイトコ,競艇の安藤選手みたいな性同一障害の人くらいかなァ・・・たぶんネ。

階段を降りて

脱衣所 内湯

 山の恵み湯は,二階から木の階段を下りていく。なかなかホテルらしからぬ味わいがある。6時前の宴会客お風呂ラッシュの時間にもかかわらず,三人しか入っていなかった。ラッキー。露天に人がいなかったので,大急ぎで写真をパチリ。そして,内湯へ。ウーン。ツーンとくる青白い蔵王の湯とは,これか。PH1.3と全国でも2番目に酸の強い温泉のため,温泉タオルをつけて,三日干しておくと,プチッと切れ ちゃうらしい。でも,入ってみたところ,そんなに激烈には感じなかった。

混浴露天

 そして,混浴露天へ。隣の女性露天からは,木戸からこちらに来られる仕組みなのだ。勇気ある美女をしばらく待っていたが,やっぱり,来るハズもなかった。露天は二段になっていて,下の方はかなりぬる め。ま,ホテルの温泉にしてはなかなかだ。泉質は,期待していたほどではなかったけど(このタイプの泉質は,みけねこの好みじゃないのだ)。10分ほどで,脱衣所に戻る。内湯が撮りたくて,カメラをいじっていると,「写真を撮ってあげましょうか」と親切なオジサン がニョロリと現れた。「いえ,人がいるようですので」と(みけねこのヌードでも撮ってくれるつもりだったのかな?と思いながら)断る。そして,服をゴソゴソ着ていると,家族連れが脱衣所に入ってきた。女の子連れのお父さんだ。すると,例の親切なオジサンが,「その子は何歳ですか」「8つです」「感心しませんな。もう,そのくらいになると,男湯はいけません。いや,私に悪いのじゃなくて,その子自身にとって失礼じゃないかと思うのですよ」
 もっと,話を聞いていたいような気がしたのだが,服も着ちゃったし,ボクは,そのまま脱衣所を後にした。ボクが思うには,そのオジサン。ただのお節介の言いたがりなんだ ろう。別にいいじゃないか。みけねこ的には,女の子は12歳・・・いやいや,未成年である19歳までは,パパリンといっしょに,男湯に入ってきてもいいと思う。みなさんも,そう思うでしょう?それに,よく考えてみたら,(脱衣所部分は確かに違うかも知れないけど)混浴露天ですしね!

ユウゴハン

 18時半。夕御飯を食べに2階のレストランへ。さて,何が出てくるのかなぁ。楽しみなのだ。テーブルの上は料理でいっぱい。米沢牛のステーキがあるぞ。ウッシッシ。ビールを一本頼んだ。「カンパーイ」 「ご苦労さま」
 しかし,ここの料理,ボクの舌に実に合うんだ。このたぐいの料理って,そんなに食べられないので,少しづつ食べて,残しちゃうのが普通なのだが,これ,本当に美味しくてパクパクとシコタマ食べちゃった。ああっ。幸せ!ここの板長さんは,ボク向きの味付け がトクイ。

リフレッシュバーデン

 すっかり,腹一杯になっちゃったボクタチは,部屋に戻った。そして,テレビをつけて,ベッドにころがっているうちに,1時間ほど寝ちゃったのであった。思っていたより,疲れていたみたい...
 目が覚めると,もう22時近い。ボクタチは,もう一カ所の温泉”リフレッシュバーデン”に行くことにした。こちらは,一階フロントを経由なのだが・・・むむっ!むむーん。広くて,誰もいないのは,大いに結構であり,かつまた,ジャグジーだの寝湯だの打たせ湯だの充実しているのは, ケッコウ毛ダラケのシラミダラケである。しかーし。こんなことがあってもいいのであろうか?(いや,良くない)リフレッシュバーデンなるところは,ただの湯, 水をグツグツ沸かしたお風呂であった。
 このカタカナの名前を聞いた時から,アヤシイと思っていたんだよなァ。普通だったら,”海の恵み湯”とか”谷の恵み湯”とか”浅丘恵み湯”とかつけるハズ。それが,”リフレッシュバーデン”・・・所詮は,温泉のなんたるかを知らないスキー客がメインの蔵王ですものね。
 ボクは,(一応,頭だけ洗って)10分後には,”リフレッシュバーデン”を後にして,さっさと,”山の恵み湯”に行った。またまた誰もいない。彼女も,ここに来ればいいのになぁと思いつつ,ゆったりと渓流のせせらぎを聞きながら,露天につかったのであった。

 部屋に戻って,二人でポテトチップを食べていると,窓の外から嵐のような音。滝のような雨が降り出した。窓から下の池を見ると,赤いコイたちは,どこかに隠れてしまって,一匹もいなくなっていた。

蔵王国際ホテル

山形市蔵王温泉933
023-694-2111
硫黄泉,42度 山の恵湯(内2,混浴露天2,女性露天1)
他に,リフレッシュバーデン(お湯)有

 

  6月16日( 日)のこと...

 オカマ,いやお釜へ!

蔵王の朝

 7時半起床。くわっ!寝坊した。6時半に起きるつもりだったのに...目覚ましが鳴ったけど,あと5分とか思ってまた寝ちゃったんだ。快晴なり。夕べの雨のなごりの露が,朝日に光っている。
 朝風呂(もちろん露天)に出かけて,モーニング。昨日の夕食と同じ会場なのだが,これがなんともウマイ・・・ため息が出ちゃう。9時にチェックアウト。記念に手拭いと,車を運転する人にと,ガムをもらっちゃった。フロントから出て,記念の写真を撮ろうとすると,研修生のオネエサンが「写真を撮りましょうか ?」と撮ってくれた。そして,手をふってくれる。あ〜イイトコ〜。ボクより純真で,ひねくれていない彼女は,チェックインした時のフルーツのサービスの時から,この”蔵王国際ホテル”をベタボメである(ボクも褒めるケド, 個人的には,もっとアヤシイ感じの宿が好きなんですよね)。

下湯共同浴場

 蔵王の朝は輝いていた。パルパル号を中央ロープウェイ駅の駐車場に停め,ちょっと散策する。お土産を少し買って歩く。温泉街って感じはしないや...リゾート地にしても,ちょっと中途半端だ。でも,蔵王は冬の雪の時期にこそ,光り輝くのだろう。200円で入れる共同浴場や,温泉施設も多く,ヨダレが出る思いであったが,ボクの予定では,いささか時間オーバー(寝坊したボクが悪いんだ)。どうせ,蔵王の湯は,ボクの好みじゃないさ(あのブドウはすっぱいのさ)と,ボクは,つぶやいた。

 そして,パルパル号のナビを”お釜”に設定する。さらば。蔵王!

 パルパル号は,蔵王エコーラインを南へ。そして東へ。ひた走る。青空に生える新緑が・・・って,また曇ってきたわい。
 

「オカマのりば」ですって
オカマに向かってまっしぐら
リフトでブラブラ行きましょう

 結構,きついターンが続くところもあるが,パルパル号は実に快適至極。でも,距離あるなァ・・・ようやく,左側に大きな駐車場を発見したので,ここで休憩 することにした。
 駐車場の奥にリフトが見える。そうか。ここが”刈田駐車場”。予定では,もうしばらく走って,蔵王ハイラインの有料道路から 御釜にいくつもりだったが,リフトも面白そうですよね?
 と,言うわけで,予定変更。古びたリフトに歩く。近づくにつれ,その古ぼけた様が,いい味わいを出しておる。クソふっる〜い!尋常じゅない古さだゾ。コレ・・・

 気を取り直して,中へ。リフト券を買わなくちゃね。しかし,ボクの目玉はビョーンと飛び出し,風大左エ門みたいに,アメリカンクラッカーの涙が出そうになった。リフト代,一人往復700円なんですって。二人だと1,400円。蔵王ハイラインだったら, (車一台で)たったの520円ですんだのに。ううっ。ニャンコ先生,すまんダス〜

 やっぱり,リフトも古めかしい一人乗りだ。大昔のスキー場のリフトの再利用みたい。どうせなら,苗場のドラゴンドラみたいなやつだったら良かったのに・・・と思いながら,恐る恐る乗る・・・ガタガタと揺れるんですよね〜。初めの頃は,もし落っこっちゃったら,キャット空中三回転しかないぞなもしと思っていたが,だんだん,カイテキとなる。実際,そんな高くないですしね。緑の絨毯にピンクの花が咲き,遙かに,残雪が見える。
 約6分ほどで,上駅へ。

 オカマ・・・,いや,御釜は,刈田岳に位置する,直径360m・水深25mの火山(カルデラ)湖。強酸性の湖であり,水面から一定水深までは水温が下がり,それ以下になると逆に高くなっていくという特殊双温水層で,世界的にも珍しいそうだ。光の加減で,湖水の色が変化することから,五色沼とも呼ばれる。

 山頂の荒涼たる道を歩く。右手遙かに,蔵王ハイラインからの駐車場。あそこから歩くのでは大変そう。リフトを使って正解だったかも知れない。そして,ボクタチの目の前の広がったのは・・・ おお。


 

駒草平

 蔵王エコーラインは続く。たいして走らないうちに,駒草平の駐車場へ。ここも名所らしいから車を降りて見てみようか。ここは,ちょっとした遊歩道みたいになっている ようだ。むむ?遊歩道の途中で,中年の紳士が四つんばいになって,柵の中のなにかの写真を撮っている。なんだろう?
 突き当たりには,小さな展望台があって,そこから滝が見えた。地図にある,たぶん”不帰の滝”。
 遊歩道を戻って,さっきオジサンが転がっていたあたりをよく見ると・・・コケのような草から生えているピンクの可憐な花が,ポツーンと柵の奥にあった。きっとこれだ。超貴重な高山植物に違いないと 「ピーン」ときたボクは,さっきのオジサンよりペッタリと低く四つんばいになって,右手のデジカメを伸ばした・・・

駒草(コマクサ)

 宮城県内では,蔵王にしか見られない駒草。6月から7月にかけて,ピンクの花を咲かせる。三十年ほど前までは,ここは駒草でいっぱいだった。しかし,心ない人々が踏み荒らしたり,持ってかえってしまったりで,今では,稀にしか見ることが出来なくなった。現在では,駒草の群落を蘇らせようと,保護している とのこと。

 ──長かったエコーラインをようやくの思いで踏破し,遠刈田温泉へ。遠刈田温泉は遠かった(トウガッタ)。もう,お昼もとっくに過ぎてるし,ここいらで,遠刈田ソバとか遠刈田ラーメンでも・・・と思ったボクタチだったが, この温泉は,あっという間に通り過ぎちゃうような小さな温泉町であり,駐車出来る場所を探してグルグル回ったが,車が置けない。結局,国道457号を南に向かう途中で見つけたのが,とろろ料理の”木地子庵”っていう店。

麦とろろ

 実は,ボクはとろろが大好き。ネバネバ大好き人間なのだ。入った途端,「高そうな店じゃ」と一瞬足が止まりかけたが。メニューの中でも最も安い(1,200円)”麦とろろ”を注文す。店内の説明によると,ここのとろろは,天然山掘の日本原産の自然薯で,そこらにゴロゴロ売っているナガイモ・ヤマトイモなどとは,チョイと違うそう である。席に座ってからも,後から後から客が来て,入口で待っている。かなりの人気の店らしい。お味の方は,とろろが,スルスルであり,びっくりしてしまった。これは,かなりの時間をかけて摺っているとみた。珍しい味噌風味で,初めての味。麦ゴハンがお櫃にいっぱい入っていて,麦とろご飯18杯って,いいますけど, これ。よく分かるなぁ。

 遠刈田温泉の手前で,見つけた看板。それは,「蔵王キツネ村まで20分」という看板。帰りの時間を考えると,よし!あと一カ所だけ。寄ってもいいだろう! 何を隠そう。ボクは,”とろろ”の次に”キツネ”が好きなのである。キツネのように,ズルく世の中を上手に渡っていきたいものだと常々考えている・・・そして,ボクタチは, この旅行,最後の最後のイベントとして,キツネ村に向かった。

 

 キツネ村へ。そしてサクランボ隊の解散の時!
 

蔵王キツネ村

さんちゃん

 国道を看板に従って右折したのはよかったのだが,行けども行けども,キツネ村にたどり着けない。登ったり降りたり・・・だんだんと道が狭くなり,まるで,キツネに化かされたよう だ。ボクタチが,「やっぱ,来なきゃよかった」と後悔し始めた頃,ようやくキツネ村駐車場にたどり着いたのであった。 この怪しき黄色と赤の建物のキツネ村に。しかし,静かなトコロだ。あまりお客も少ない。
 まあ・・・入ってみようか。入園料700円である。ついでに,キツネのエサを100円で買う。これ,魚肉ソーセージなのだ。
 中に入ると,さっそく,一匹のキツネが繋がれていた。「3本足のさんちゃんは、小さい時,お母さんの不注意で3本足になりました。横になってサービスします」さんちゃんは,なでられるのが好き。時々,3本足で立ち上がって,ピョンピョン跳ねるのだ。

ウサギエリアへ

かわいいのう ポニーとヤギ

 お楽しみは先に伸ばすことにして,まずはウサギエリアへ。むふふ。いるいるっ。ワサワサおるっ。ウサギおさわり放題なのだ。 チャンララーン。おさわりタイムの始まり始まり〜。一匹の茶色いウサギが,ボクのズボンが気に入ったらしく,クンクンしているので,頭をさすったら,とても気持ちよさそうな顔をしていた。 ナデナデナデ。エサ買って来なくて,ゴメンよ・・・
 ここには,ヤギもいて,子ヤギがせつなそうに,「メーメー」鳴いていた。柵で分けられたお母さんヤギが恋しいのだろうか。ポニーを見下ろしていたら,向こうからヤギがゾロゾロ列を作って歩いてきた。

ここから,キツネエリアだ

中はメチャクチャ広い 案内ギツネがやってきた。コンコン

 次は,いよいよメインのキツネエリアである。胸が高鳴るなぁ。なにせ,放し飼いのキツネ園なんて,生まれて初めてですものね。中はまさかと思うほど広い。向こうの方に,赤い鳥居が見える。さっそく, 黒い長靴を履いたような案内ギツネが一匹やってきた。なになに?ボクタチを案内してくれるって?よろしく頼むよ・・・

 案内ギツネは,前へ行ったり,後ろに行ったりしながら,ボクタチの後をついて来る。キツネっぽいキツネもいれば,イヌっぽいのも,タヌキっぽいのもいる。銀ギツネ,青ギツネ,プラチナギツネ,シャドーギツネ,十字ギツネ・・・みんな,のんびり,幸せそうにあちこちで眠り惚けている。

 専用エサ場があったので,そこでエサをやることにする(ここ以外でやるのは禁止なんですって)。ワラワラワラ!キツネ共が集まってきおった。魚肉ソーセージをホレホレ。キツネは空中キャッチ。とても上手なのだ。案内ギツネにも,お礼にソーセージ。そして,ソーセージは,あっという間に無くなっちゃった。
 最後に,子ギツネコーナーへ。なんて,フサフサで愛らしいやつらよ...グーグー寝ていて,さすってもヘイキだった。

専用エサ場

いるいるっ。白いの,ワンコみたい この期待に満ち満ちた顔 子ギツネ コンコン 穴の中〜♪

 さ。もう帰らなくちゃ。名残惜しいけど,遅くなっちゃう・・・最後に,さんちゃんと別れを告げて,蔵王キツネ村を後にする。

蔵王キツネ村

宮城県白石市福岡八宮字川原子11-3
0224-24-8812
受付時間9:00〜17時(冬季〜16時)
大人700円,小人500円

 キツネ村から白石ICまでは,20分ほどだった──そして,単調な高速道路の旅。来たときは楽しかったけど,帰りはなんだか寂しい。これで,みけねこサクランボ隊リターンズの冒険はオシマイ。楽しい旅行も,あっという間に日常の暗い現実へ。
 これも,浮き世の定めなり・・・

 来年?そう!もちろん,三度(さんたび)。行きますともっ!みけねこサクランボ隊は...必ず!

 

みけねこサクランボ隊リターンズ 完

 

 へ戻る