2007年8月24日(金)〜25日(土)の冒険
みけねこクンクンキャッツアイ隊の巻

 

Vol.001 旅行けば

2007年8月24日(金) 

 いつもなら、旅行に行くこととなった動機、旅行会社 における予約手続、天気や空にぽっかり浮かぶ雲のかたち、途中の道路交通状況等々を詳しく細かく書いていくのが通例(目的地に到着するまで不定期日記三話分はかかるのだ) だが、読者にとってこれほどつまらないことはあるまい。

 そんなワケで、今年の夏休みはここに決めた!とだけ書いておく。
 さらに、先週クンクンをダッコし過ぎたみけねこは、ビックリして腰を痛めてしまい(これぞビックリ腰なのだ)、今回、爆弾をかかえながらの旅行となったということも付け加えておこう。念のため。

 11:30。”木更津金田IC”から高速道路を降りた。草深き田舎から高速道路に乗って三時間弱の距離であった。 それにしてもウウウ、腰がやばそう・・・
 千葉といえば、ディズニーランドやシンデレラ城、摩天楼が隙間無く乱立する大都会と聞く。木更津は初めてだが、その名は我が田舎にも轟き渡っている。確か杏子とかいうポップ歌手が歌ってましたな?
 しかし・・・ヘンなのだ。インターから降りたものの、摩天楼の代わりに生えているのは背の高い草ばかり。これじゃ、キツネやタヌキ、ニホンカモシカがゾロゾロ列をなして横断歩道を渡っているウチの田舎とそう変わらないジャン。 車のナビも度肝を抜かれたらしく、ホテルまでの道順を間違えた挙げ句、後は「交通規制に従って目的地に進んでください」(自分で探してくれ)と投げだしよった。まったく勝手だよ。

ここじゃね?やっとメッケた

 とは云え、それから10分ほどでなんとか目的地の”龍宮城ホテル三日月”にたどり着けた。ここまで田舎だと大きな建物 は滅多にないから、概ね場所の見当がついちゃうのである。そう、ここが我らが今夜の宿。え?観光地ひとつ寄らずもうホテル到着なのかって。──まあね。今回はそうなのサ。

 車が一台ようやく通れるようなクネクネした狭い道路の先に、突如として平等院鳳凰堂の如き門が現れた。そこが”龍宮城ホテル三日月”の駐車場ゲート になっている。ホテルの宿泊客でも駐車料金を取られる(但し割引あり)のは、モノを知らない田舎者にとっては理解の外であろうが、大都会においては常識なのである。お分かりですかな?田舎者の皆さん。エッヘン。

 ●  ●  ●

龍宮城スパ入口 フロント全景
チョウチンの奥が(男子)更衣室 ロッカーの群れ群れ群れ

 敷地内には建物がいくつか点在するが、右手奥の建物が目的の”龍宮城ホテルスパ”。プールとはとても思えぬ佇まい であるが、浮き輪をかかえたファミリーがどんどん入っていくから間違いなさそうだ。

 入口には、ウマだのライオンだのカメだの、ブロンズ像が並ぶ。違和感が。それにしても・・・多すぎだ。オーナーの趣味であろう。おそらく、このブロンズ像のどれかが密かにオーナー自身の像に違いないと みけねこは思った。木の葉を隠すには森の中、死体を隠すには死体の中だとブラウン神父も言ってるし。

 ボクタチのようなホテル宿泊者のシステムは、プール利用は宿泊当日のみが無料で、部屋へ入れるのは午後三時以降。当然、宿泊日に早めに着いて、先にプールに入る と決まっている(お金を気にしない人は別)。日帰プール利用客達と共にこのスパ棟のフロントでチェックインをしたが、それにしてもここ。プールっぽくもホテルっぽくもないなぁ。チョウチンが ズラリ並んでいて奇妙な雰囲気だ。なお、食事券やら館内着交換券はここで先に渡してくれるが、当分の間は用はなし。

入場料 平 日 土・日・祝日
特定日
トワイライト
(18時以降)
宿泊当日
利用
宿泊翌日
利用

大 人

2,100円 2,625円 1,575円 無 料 1,050円

子 供

1,155円 1,680円 840円 無 料 630円

 リストバンド(=ロッカーキー)をもらって、各々更衣室へと分かれる。男子更衣室は一階、女子更衣室は三階で、みけねこはクンクンの浮き輪を預かった。
 もどかしい思いでコルセットを外し(腰痛用に先日買ったやつ。さすがに水着にコルセットなんて出来ませんからな)、水着に着替える。みけねこの以前の海パンは、買った当初(十年前)は最新モードのパリコレクションだったが、今となっては黄土色というかウンコ色の古ぼけたトランクスと化している。ついに、哀れに思った(それより実は、いっしょにいると恥ずかしいと思ったのかも知れない が)彼女が新調してくれたってワケ。それにしても最近の海パンって結構丈が長いんですなァ。足首まであるぞ?

大浴場”龍宮の湯”を通って 屋内プール”アクアパーク”を通って 屋外プール”オーシャンスパ”へ行くのだ

 屋外プール”オーシャンスパ”までの道のりは遠い。まず、更衣室から大浴場”龍宮の湯”を通るのだが、もちろんここはハダカゾーン。野郎共が恥ずかしげもなくモロ出しでワニワニと歩き回っている。みけねこなんて上品に海パンを履いて( それどころか、タキシードでも着たいくらいである)いるというのに、なんてお下品なのでしょう?まったく嘆かわしいことではあるまいか。そこから屋内プール”アクアパーク”へ。目的の”オーシャンスパ”はこの先だが、とりあえずここで、先ほど更衣室で分かれた彼女とクンクンを待つ。

Vol.002 湯ったりたっぷりの〜んびり(コラボレーション)

 あー首が重い。みけねこは首からブラ下げているブツを大事そうにナデナデした。(「あれは何だ!」「鳥だ飛行機だデカパイじゃなかったディカパックだ!」)突き刺さる視線が痛い。なにやらプールサイドの注目を一身に集めているような気がするゾ。ブラがプールの塩素で溶けちゃった女性などはきっとこういうキブンを味わうのであろう。

 さて、これこそ、今日この日のために(わざわざ)購入したデジカメ防水ケースDiCAPacである。
 まあ、フツーの場合、プールにデジカメを持ってったら、水に濡らして壊しちゃうか、プールサイドに置いて盗まれるか二つに一つ。それ以外にはない!しかしDiCAPacさえあればもう安心。水着だろうが水着の中身だろうがシャッターボタン押し放題水着撮り放題メモリーカード保存し放題(容量の範囲内なら)なのである。

 あっ二人が来た。では、屋外プール”オーシャンスパ”へ行きましょうか。
 以下、DiCAPacによる撮影である。

いよいよプールへGo! まず、ここに荷物を置こう 最初は浮き輪を怖がっていたクンクンも この雄姿
 まずは、トロピカルな木陰にシートを敷いてここを基地とする。クンクンの短い足のつくプールがなくて、浮き輪も怖がっていたクンクンだったが、みけねこがバカみたいな顔で浮き輪を戯れてるのを (わざと)見せつけると、クンクンも意を決し・・・あっという間にもう夢中。
流れるプールでユーラユラ 浮き輪の下の秘密。お隣と同じ格好だ 優雅な水鳥も水中の足はかくの如し 楽しくって
 グルグルと流れるプールが特にお気に入りとなった。クンクンはプカプカプカプカ浮いているだけだからいいですけどね。ついて行くこっちの方は重労働だ。水中の運動量は空気中の二倍 なのである。腰痛が悪化しそう。
赤いプール(ローズ風呂) 青いプール(ええと、バスクリン風呂かな) 紫のプール(セージ風呂) 白いプール(楊貴妃の真珠風呂)
 「あかいプール!」「あおいプール!」と大はしゃぎのクンクン。フ〜。ここは暖かくて腰にいい・・・この色つきプールシリーズも二度回りましたが。この後もまた流れるプールでやウォータースライダー(みけねこはたんまり水を呑んだ)でヘロヘロになった。

 それにしてもこのプール、ここもブロンズ像ダラケ。なぜでしょうねぇ?
 プールの監視員かと思いきや仏陀が瞑想にふけり、馬がヒヒヒンといなないている。ダビデ像がなぜか上品に葉っぱをつけていた(本物はつけてない・・・よね?)ので、本旅行記の読者のため 、わざわざ横からの写真を撮っておいた。ここらへんが、パルパルがよくある凡百の旅行記と違うところ。

 論より証拠見ての通り。以外とクリアー ですね。なにより今まで撮れなかった写真が撮れるのはとても楽しい。なお、レンズ部分(筒の外 側)に水滴がついた時はチョイとプールの中に浸せばOK。注意点としては、レンズ筒とレンズの位置がうまくあっていないと、 左の写真(これコーヒー風呂だよ。注目は写真右側の影のトコ)ようなこととなる・・・ので注意。
 実は、本箇所は別ページである”
FinePix F31fd購入記”とコラボレーション。一回で二度美味しい(一回書けば済むみけねこにとっては)のである。

 「次はお風呂に入ろう。おっきいよっ」と、まだまだプールで遊び足りないと主張するクンクンを宥めに宥めやっとこプールを後にしたのはようやく午後4時過ぎ。夕食は5時半からの予定なので、ゆっくりしてられないのだ。 それにさ・・・

 その時、みけねこのガラスの腰はもう限界の時が迫っていた・・・

Vol.003 虹の掛け橋の彼方へ

 西暦2000年7月。ホテル三日月グループは、風光明媚なるここ金田海岸の地に、”スパ三日月”を建設。3万坪の敷地内にアクアパーク375坪、オーシャンスパ1515坪を配す。 さらに、2002年年7月には”ホテル三日月”を増設し、かくして”籠宮城スパ・ホテル三日月”が合体完成した。

龍宮城ホテルへ ここに寝たいと言ってたが

 17:10。大浴場”龍宮の湯”にささっと入った我々は、別棟のホテルへ。スパ棟から一度外に出てそのまま右側の建物だ。こちらのフロントは、スパ棟の方と比べると、ちょっと質素な感じ。
 ホテル代は夏休みという時期もあって、ビックリするほど高かったが、それでも旅行会社のプランの予約は殆ど埋まっており、いろいろ探してもらってやっと取れたのである。人気なんですよね。

 部屋は2階。シングルベッド×2+和室(布団)という構成だ。クンクンは赤ちゃんだった頃は別 だが、夜ひとりで寝たことがない。クンクン用として小学校低学年まで使える格好いい柵付きベッドを買ったのだが、結局、夜泣きで起きるのが大変で、ついにボクタチのベッドの真ん中に大の字になって寝るようになった。みけねこなどは、いつもベッドの縁にしがみつくようにして寝ている (まだ落ちたことがないのが奇跡だ)のだが・・・この部屋のシングルベッドは狭いし。さて、どうしたものか。

 ──窓の下にはプールが見える。つい一時間前までは人がいっぱいだった。どこかの女性が両足を水面に出してシンクロをしていた。おそらく犬神家の一族のまねをしているのだろう。

 東京湾に沈む夕日。東京湾はヘドロと海鳥や魚の死骸ばかりだと思っていたが、全然(あまりいい日本語じゃないですな)美しい。ここが千葉県だと知らなければ、てっきりグレートバリアリーフだと思い込んだのではないだろうか・・・と、夕食は17時半からだっけ。 今日は(も)混んでいるということで、この時間しか予約が取れなかった。感慨に浸っているヒマなどない。

虹の架け橋 こちらバイキング会場
焼きそばをモニョモニョ でも、こてっ!

 夕食会場のバイキングホール”若汐亭”へは、5階からの連絡通路『虹の掛け橋』を通って ホテルニュー塩原・・・じゃなかった、スパ棟へ渡る。虹の掛け橋ってありがちなネーミングだが、(いつも思うけど)どこが虹っぽいのかは不明。そういえば、虹のように、はかなげな感じはする。地震が来たら落ちちゃうかもね。ここの途中、靴を抜いて裸足でペタペタ行くシステムが面白い。

 さあバイキングだ。みけねこはすばやく、寿司とステーキと天ぷらを(列に並んで)ゲットした。これは貧乏人の悲しさで、真の金持ちは珍しがってタクワンとか油揚げとかを取るものである。彼女はと云うと・・・やはり寿司とステーキと天ぷらを持ってきた。クンクンはお蕎麦と焼きそばと玉子の寿司とエビフライのお子様定番 スペシャルメニューである。もっと高いモノ(例えば、寿司とかステーキとか天ぷらとかね)を選べばいいのにと思うのだが。

 最初は勢いよく食べ始めたクンクンだったが・・・焼きそばを食べ ていたら、あれ?頭が前後と左右に揺れ始めた!やばいっ。そんな気はしてたんだ。あわてて、「エビフライ食べる?」「ん。むしゃ、むしゃ」「お蕎麦食べる?」「ん。むしゃ、むしゃ」・・・でももう限界。パッタリ寝てしまった。ま──無理もないか。
 親達は、その間、何度も料理を取ってきてはパクパクやっていたが、そろそろ19時。次の組の時間になっちゃうぞ。「アイス食べよ。アイス」お疲れのクンクンを少し強引に起こして、アイスとケーキをデザートに食べさせて、バイキング会場を後にした。

 せっかくなので、スパ棟1階から連絡通路を通って、今年3月にでっかくオープンしたばかりの”お祭りランド”棟へ。ここは、屋台コーナーやお土産コーナーやトリックアート館(これ有料)。なかんづくゲームコーナーがある !
 例によって例の如く、みけねこは、百円玉をことごとくクンクンに没収され、ついでに千円札もくずしてそれさえ全部使わされるハメとなった。アンパンマンにパトカーにバイクにUFOキャッチャー・・・みけねこの子供の頃は、十円のガチャガチャでさえ滅多に出来なかったというのに。

 ●  ●  ●

 

 21時には、クンクンはこのとおり。「グー」布団の方にひとりで寝ちゃった。いつもこうなら楽でいいですな。さて、クンクンも寝たことだし、またもや大浴場”龍宮の湯”へ。疲れたし、腰は悲鳴をあげている。是非行きたいというキブンでもなかったが、安からぬホテル代の元を少しでも回収しなければならないからなァ。

 今年5月。鴨川市の「小湊ホテル三日月」10階の男子浴場にあった黄金風呂が盗まれたニュースは記憶に新しい。80キロもある黄金風呂は、鎖は切られ4つあった防犯センサーも線が切られ、跡形もなく盗まれたのである。もっとも両脇のツルは残された。これはブロンズ像だったから。これに対する三日月グループの対応は迅速だった。「小湊ホテル三日月」を「鴨川ホテル三日月」に名称変更し、盗まれた黄金風呂とまったく同じ黄金風呂を作成した。当初1億2千万円だった黄金風呂は、このところの金価格の上昇により2億円もかかったそうである。
 なんといっても、ホテル三日月興隆の秘密は、黄金風呂に入りたい一心でわざわざ泊まりに来る客にありますからな。黄金風呂は非常に重要なファクターなのである。
 なお、盗まれた黄金風呂の行方は、依然蓉として知れない。

龍宮の湯 ここの雰囲気はやっぱり竜宮城かな。絵にもかけない美しさだが、写真なら大丈夫だろう。 湯は、地下800mから毎分260リットルを湧出。つまり、量はまるで足りないので、一部の浴槽だけに使用している。とりあえず、舐めたらショッパイ褐色の浴槽を探してみよう。なお、奥の露天風呂は、時間が遅かったため閉鎖されていたのが残念だったが...あっあれは!

 ムッ。鋭い目つきの従業員さんが油断なく見張っているガラス張りの一角。そう、知る人は皆知っているが、知らない人は全然知らないという超有名な黄金風呂ではないか!
 みけねこがオソルオソル近づいていくと、ちょうどクリスタルボーイに似た先客が出たところだった。身体が金色に輝いていたのは、金が流れ出して皮膚に付着したためと思われた。近づくみけねこに従業員さんはにっこりして(でも、目は笑っていない)、「よろしければどうぞ」。ここで入らなければ一生後悔すること必定だ。みけねこはお言葉に甘えることにした。
 黄金風呂は思・・・いや書けない。なにせ絵にも描けないくらいの美しさですから、みけねこの筆力ではとてもとても。縁は高いが、みけねこのように足の不自由な(つまり短い)人でも大丈夫なように踏み台がある。それにしても、腰に巻いたタオルの中に拳銃とか手榴弾を隠し持っていまいかと、目で鋭く探る従業員さんの視線が背中に痛いのう。

 じゃぶ〜ん。いい。いいね。やっぱ黄金はいい。ここでウンコを漏らしちたらどうなるのだろうか・・・お湯まで黄金色になったのではないかと推測される。なお、右写真のネーチャンがかぶっている王冠だが、ちょっと前までタダ同然たったの1,050円で、王冠をかぶった写真を撮ってくれるというサービスがあったそうで、利用者からは「勝ち組気分を味わえる」と非常に好評だったとか。なんで止めちゃったんでしょうねぇ?

 ──言うまでもないが、黄金風呂をありがたがって入るのは負け組だけ。本物の金持ちは、自分ちの黄金風呂とかダイヤモンド風呂に毎晩入っているため、プラスチックやタイルの質素な風呂の方 が珍らしいと喜ぶものなのである。もちろん王冠だって、5コや6コくらい普通に持っていますしね。

 で、みけねこは30秒くらいで黄金風呂から出ちゃった。やっぱりどうにもこうにも落ち着かないのである。

 

 と言うわけで、旅の一日目はお仕舞い。窓から見える東京湾の対岸の火事は、いつまでも燃えさかっていた。

Vol.004 はじめての潮干狩り(三歳の夏の終わりに)

2007年8月25日(土) 

 浦島太郎という物語は考えてみると実に不条理である。
 亀に乗って竜宮城に行くのはおとぎ話だからいいとして、まず、ホームシックにかかった浦島太郎に、帰ったら三百年も時が過ぎていることをケチケチして教えてくれないのだ。分かってれば、いくら浦島太郎だって帰るのを断念したでしょうにね。さらに、お土産が「決して開けてはいけない玉手箱」だなんてふるっている。フツーだったら(宝とか結構なものが入っている)開けられる玉手箱でしょうが。そして故郷に帰った浦島太郎が、大方の想像通り絶望にかられて(おそらくは万に一つの救いを求めて)玉手箱を開けたところ、ケムリがモクモク。浦島太郎は身よりのないヨボヨボのジジイになっちゃったというラストは酷さ極まれりというものである。
 そんなことをされるほど、浦島太郎は悪いことをしましたかね?そりゃあ、絵にも描けないくらい美しい竜宮城でタイやヒラメの舞い踊りを三日も楽しんだ挙げ句、乙姫が引き留めるのも聞かずに帰ろうとしたのは、強引だったかもしれないが、故郷に帰りたい父や母に会いたいという気持ちは十分理解出来るものだし、そもそも子供達にいじめられていた亀をなけなしの金を出して助けた善人ではないか。
 桃太郎や一寸法師、金太郎の成功物語と比べて、なんと残酷な話なのであろうか...

 実は、浦島太郎の物語がこうなったのは近世のこと。その原型は日本書紀や丹後風土記などにあり、それらを総合すると、主人公の浦島子(浦島太郎のこと)が海釣りをして大亀をつり上げたところ、亀は美しい女に変身する。なぜ亀がという疑問があるかも知れないが、女の名前が亀比売(カメ姫。つる姫じゃないよ)だったと説明すれば皆さんの疑問はあっという間に氷解するであろう。そういう名前じゃ無理もありませんな・・・。あろうことか、ムラムラした浦島子は亀比売をその場で押し倒しちゃうのである。これは今でこそ非難される行為だが、おおらかな古代においてはそうでもなかったらしい。二人が手に手を取って出かけたのは龍宮城ホテル三日月ならぬ蓬莱山。浦島子は、その仙女を娶り蓬莱山で三年間暮らしたものの、やっぱり家が恋しくなる。結果、捨てられることとなった仙女は心変わりをした浦島子を恨み、憎さ余って可愛さ百倍(逆でしたっけ?)・・・とまあ、男女の仲の物語だったのだ。

 ●  ●  ●

干潟が広がっていた バイキング会場でピース チェックアウト

 7:30起床。本日の天気も上々である。
 窓の外のプールを見下ろすと、その先には広大な干潟が広がっていた。ムッフッフッ!

 小櫃川の河口に発達した盤洲干潟は、長さ3km、奥行き1.5kmと、砂の干潟としては国内最大級であり、東京湾に残された最後の自然干潟と云われる。

 まずは朝メシだ。夕べと同じバイキング会場で同じ席に座ってパクパク。バイキングだと、いつも思い切り食べちゃう。それにしてもクンクンはウキウキだ。前回の旅ではいろいろ手こずったものだが、やっぱり成長したんだね。

 そう・・・今日の予定は、潮干狩りをするのである。さらに説明すると、潮干狩りとは、潮干なんてムダなモンは狩らずにあさりを採る。 なんで潮干狩りなんて云うのでしょうね。紅葉狩りだって、紅葉を狩らないのに不思議だ。
 この”龍宮城ホテル三日月”の在する地『金田海岸』は、あさりの生息地として有名であり、毎年3月から8月(今年は3月18日から8月31日)頃までは潮干狩り場がオープン。運営は、地元漁協とホテル三日月が共同にて行っている。写真にあるプールの向こう側の干潟が潮干狩り場であり、ホテルの敷地(駐車場)から0分の距離な のだ。ホテルのプライベートビーチみたいですな。
 グフフ。腕がなるゼ(キコキコ)...とは云っても、もちろん貴重な自然あさりがワッサワッサ採れるハズはない。もちろん、毎朝、係の人がその日の分のあさりをセッセと撒いておくのである。そのくらいは常識 の範疇ですな?みけねこの(自然だけは豊かな)田舎の海岸だって、潮干狩りとは云っても、30分も砂を掘りまくって5ミリくらいのあさりが1個採れるか2個採れるかの世界で すからなぁ。

さらば〜ホテルよ〜♪
イメージ図

 これは、詳しい人から前もって聞いておいた話だが、干潟のところどころに小さな木の枝がささっている箇所がある。そこを探すのである。短めの枝のトコには、あさりが三〜五粒くらい。やや長めの枝んトコには十粒近く埋まっていることもあるらしい。フフフ・・・それさえ知っておれば、もう心配することはない。あさり採り放題、買い放題である。──おっと、ここで注意だ。いい気になって採り過ぎるのはいいですけど、そのあさりは帰りに買わされることを忘れてはなりませんぞ。もちろんあさりは、北朝鮮あたりからの輸入モノだから、スーパーに並ぶパックのあさりとなんら変わらない──いや、人件費が余計にかかる分、お値段が高くなっても仕方ないというものだ。財布を出す段になって、ビックリ腰を抜かさないよう、ホドホドに採るのがポイントである。

 以上、潮干狩りの極意である。まったく、パルパルの情報って役に立つでしょう?これに感謝した証として、皆さん。パルパルのトップページで更新ボタンを十回くらい押して、アクセスカウンターを増やしてくださいね?出来ましたら毎日。ムフフ?

 9:11。チェックアウト。ホテルから出て右手奥へ・・・・

竜宮城スパ/ホテル三日月 千葉県木更津市金田海岸
0438-41-8111
ナトリウム-塩化物強塩泉,25.7度 日帰料金は温泉・プール込み。
10:00〜23:00。無休。

 

右手の建物が受付 「潮干狩場入口」
金田海岸潮干狩場
期  間 3月中〜8月末(問い合わせのこと)
営業時間 潮の状況により異なる( 〃 )
入場料 大人 1,200円(採貝量2キロまで)
小学生 600円(採貝量1キロまで)
*採貝1キロ増につき700円。
その他 熊 手(1丁) ・・・・・・200円 
ア ミ(1袋) ・・・・・・・200円 
貸し熊手(1丁)団体のみ ・100円 
駐車場(通常1時間)・・・・・300円 
連絡先 千葉県木更津市北浜町1
TEL.0438-41-0764(潮干狩場)
TEL.0438-41-0511(組合)
交 通 JR内房線 岩根駅下車にてタクシー。
東京湾アクアライン 木更津金田ICより車で約5分

 ・・・おや?もう着いた。早っ。

 右手の受付の建物(綺麗な水洗トイレ完備だ)で、料金を払う。クンクンは幼児なので無料。団体じゃなかったけど、受付のおばさんは親切にも熊手を100円で貸してくれた。200円出して買っても、後で使い道がないですからね〜。なお、アミの代わりに、スーパーのビニール袋(下に水切りのための穴を開けておいたもの)を持ってきたので、これはタダ。
 それ以外に、クンクン用のおもちゃのバケツと砂遊び用の熊手を持ってきたが、遊び以外の役には立ちそうもない。

 潮干狩りをするには、干潮の時期でなければならぬ。日によっては、まったく潮干狩りが出来ない日もある。もちろん、今日の午前中(11時頃までですって)はOKということをHPで確認しておいたのだ。なお、事前確認を怠ると、わざわざ遠くから来たはいいけど満潮だったりして、海女さんみたいに素潜りであさりを採らなくちゃならなくなるので注意した方がいいだろう。

 さて・・・ボクタチは、貸し熊手を握りしめ、「潮干狩場入口」と書かれたゲートをくぐった。採って採って採りまくるぞっ!
 入口の漁業組合のおじさんに、本日のあさりスポットを聞いたところ、ここから遙かに先──先に来た客共が群がっているあたりだそうだ。なるほど・・・朝、そこに重点的に埋めておいたってことね。 木の枝だ。グフフ。

  遙かアクアラインまで干潟は続いているのか。

 それにしてもメチャクチャ広いなァ。どこまでもどこまでも浅瀬が続く。今まで見たことのない不思議な光景だ。

 ●  ●  ●

 見渡す限りの浅瀬が続く。彼方にはアクアライン。すぐにクンクンはサンダルを脱いで裸足になってしまった。ぺちゃぺちゃと歩き、あさりスポットへ。
 みけねこは、鋭い目で木の枝を探した。そう、例のね。どこだ、どこなんだ!そこにあさりが埋まっているハズ──って、そこらへんちょっと手で砂を掘っただけで、あさりがゴロゴロ出てくるじゃん?だいたい、木の枝なんて刺さってないし。しかし、ワーオ!出るわ出るわ出るわ。誰じゃ?木の枝の下にあさりが埋まっているなんてデタラメ言ってたのは?
 しかし待て。この調子で採っていては、あっという間に(お一人様分の規定量)2キロを超えちまうんじゃないか。ここはひとつ小さめの貝は諦めなければなるまい。ヴァカ貝みたいにデッカイやつだけを採るのだ!

 ガリガリガリガリガリガリガリガリ・・・(手の方が早い。貸し熊手はいらなかったかなぁ)

先客達は遙か向こうに ホテルからずいぶん来たゾ あれれ?ゴロゴロ出るジャン うまそうなシャコもいるし
ここらで掘れクンクン ワー。水をかけないで そろそろお仕舞い。帰ろうか トイレの前で足を洗って

 11:00。まだまだ潮干狩り客は、モグラのようにセッセと穴掘りをしているものの、そろそろ干潮の終わりの時間だ。このズッシリとして袋の大きさからして、もう4キロは採ったに違いない(と思われる)し、みけねこの腰も、そろそろ仕舞った方が身のためだ気をつけろと囁いている。1時間半ばかりやって、かなりあ収穫したし。頃合いかな?

 ゲート手前で計量だ。4キロから0.1グラムでもオーバーすれば追加料金である。ドキドキ・・・ホセ・メンドクサと対戦する計量の時のあたしのジョーもこういう気持ちだったのか。金槌で頭のテッペンを叩いてたんこぶをつくって新弟子検査に望む関取の卵もこういう気持ちなのだろうか?
 結果が出た──1.7キロ。あれっあれ?だいたいさ、4キロのあさりなんてみたこともなかったですし。こんなことなら、厳しく貝を選ばないで片っ端から袋に入れちまえばよかった。

[ あさりの砂抜き・塩抜きの仕方 ]

1. まずは、衛生のため、採ったばかりのあさりをその場で水でジャバジャバ洗い流しましょう。
2. 長時間、あさりを車などで持ち帰る場合などは、あさりを新聞紙にくるんで、水でしっとり濡らしましょう。コンビニとかで買った氷の袋をその上に乗せておくといいです。
3. 家に到着したら、 海水濃度(3%程度)の食塩水に数時間浸して(貝がつかるくらいで)砂抜きをしましょう。明るいとあさりが眩しがって落ち着かないため、薄暗くて涼しい場所に置きます。あさりは、しきりにペロペロッと舌を出して水をピューと吐いて、チューチュー鳴きますが、面白がってあまり見ていると、あさりが恥ずかしがります。
4. その後、水でよく洗い流しましょう。貝殻に付着した腸炎ビブリオ菌(がもし見えれば)をゴシゴシ落としましょう。
5. サルで1時間以上置いて、塩抜きをしましょう。
6. 完成。食べて良し、冷凍して後でゆっくり食べるも良いですね。

 帰りがけ。クンクンは、またホテルのプールで遊びたい遊びたいと主張していた(よっぽど気に入ったらしい)が、車に乗るや5分もたたずにこんな感じィ。
 8月も下旬の候だったが、本当に夏らしい休日の二日間だった。クンクンの三歳の夏は、こんな風に終わったのである。

 

みけねこクンクンキャッツアイ隊の巻 完


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